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がんを見つける検査 がんをみつけるけんさ

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家庭医学館の解説

がんをみつけるけんさ【がんを見つける検査】

◎早期発見をめざすがん検診
◎がんの精密検査と診断

◎早期発見をめざすがん検診
 がんはそのほとんどに初期症状がみられません。日ごろからの一次予防も必要ですが、検診による早期発見、早期治療による二次予防もたいせつです。とくに、がんの発生頻度(ひんど)が高くなる40歳ごろからは、定期的に検診を受けることが勧められます。
●がん検診のスクリーニング検査
 がん検診には、老人保健法に基づいて各自治体が実施しているがん検診や、職場の健康診断などの集団検診、個人で受けられる人間ドックなどがあります。基本は、がんの疑いがあるかどうかを調べるスクリーニング(ふるい分け)検査で、疑いがあると判定されると、さらに精密検査が勧められます。
 なお、職場の健康診断や人間ドックでは、同時に糖尿病(とうにょうびょう)、肝疾患(かんしっかん)、循環器(じゅんかんき)疾患など、おもな他の成人病の検査を行なっており、自治体でも40歳以上の人は同様の健康診査が受けられます。将来がんになりやすい症状が発見されることもあるので、こちらも定期的に受けたいものです。
 ただし、何らかの自覚症状のある人は、初めから症状を訴えて病院の外来へ行き、詳しい検査を受けるべきです。
 自治体が行なっているがん検診は、つぎに述べる5つです。ただし、1998年度より、厚労省からの補助金が打ち切られたため、自治体によっては、今までとは異なる場合があるかもしれません。
胃がん検診
 発泡剤(はっぽうざい)とバリウム(造影剤)を飲んで、X線撮影を行ないます。ふつう小さなフィルムを用いて撮(と)る間接X線検査が行なわれますが、より確度の高い診断をするために、直接写真(ほぼ実物大)の写真を撮る直接X線検査が行なわれることもあります。
 検査の結果、「要精検」と判定されれば、胃内視鏡(いないしきょう)検査などの精密検査にまわされることになります。
子宮がん検診
 子宮頸(しきゅうけい)がん検診では、子宮頸部の内壁から綿棒(めんぼう)やへらで剥離(はくり)細胞をこすりとって顕微鏡で調べる細胞診(スメアテスト)が行なわれます。
 老人保健事業の検診では、子宮頸がん検診を受けた人のうち、50歳以上で不正性器出血のある人を対象に、子宮体部(しきゅうたいぶ)の細胞診を行なっています。
肺がん検診
 肺がんは発生する場所により、中心近くの太い気管支にできる肺門型(はいもんがた)と、気管支の末梢(まっしょう)やその奥にできる肺野型(はいやがた)に分けられます。日本に多い肺野型肺がんは胸部単純X線写真で、またX線で発見しにくい肺門型肺がんは喀痰(かくたん)細胞診で発見できます。
乳がん検診
 視触診(ししょくしん)によって要精検と判定されれば精密検査を行ないます。自治体によっては、最初からX線乳房撮影マンモグラフィー)や超音波検査を行なうところもあります。乳がんは早期治療で助かるがんですから、定期的に自己検診して、しこりが見つかればすぐ受診することがたいせつです。
⑤大腸(だいちょう)がん検診
 初期の大腸がんからの出血は肉眼ではわからないほど微量です。便を採取して潜血(せんけつ)検査を行ない、陽性なら精密検査を勧められます。

◎がんの精密検査と診断
 本人がからだに異常を感じたり、集団検診で疑いがあった場合に、がんでないか確かめるために行なわれるのが精密検査です。X線やCT、MRI、超音波、内視鏡などによる画像診断、病変部の組織や細胞を採(と)って調べる病理学的検査、血液や尿の中の腫瘍(しゅよう)マーカー(「腫瘍マーカー」)を見つける検査が、そのおもなものです。
 がんは、1つの検査だけではっきり診断できることは少なく、病変部のある部位や広がりによって、いくつかの検査を組み合わせて確定されるのがふつうです。
●X線検査
●CT検査(コンピュータ断層撮影)
●MRI検査(磁気共鳴画像診断)
●RI検査(シンチグラフィー)
●超音波検査
●内視鏡検査
●病理学的検査
●腫瘍(しゅよう)マーカー

●X線検査
 X線で撮影した臓器や組織の濃淡の影からがんを鑑別するもので、特殊な方法や装置を用いない単純撮影と、造影剤を使う方法があります。
①単純撮影
 つぎのような部位の場合には、単純撮影による写真でも、十分に精密検査として役立ちます。
 胸部単純X線写真は肺がんや縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)の検査に有効です。専門家は円形の腫瘤(しゅりゅう)の陰影から90%の確率で肺がんを推定することができるといわれています。
 骨腫瘍(こつしゅよう)や骨髄腫(こつずいしゅ)の場合は、骨X線写真で局部的に骨の陰影が濃くなったり薄くなっている箇所を見て診断します。
 また、乳がんの検査には、低電圧によるX線を用いたマンモグラフィー(乳房X線撮影)が多く使われており、しこりになる以前の微小ながんも発見されるようになっています。
②造影撮影
 胃や大腸、胆嚢(たんのう)や腎臓(じんぞう)などの臓器は、単純撮影では病変がはっきり識別できません。そこで、ヨード剤やバリウム剤などの造影剤を目的の部位に送り込んで、コントラストの強い画像を得るようにするのが、造影撮影です。
 食道、胃、十二指腸(じゅうにしちょう)のがんの検査(上部消化管造影(じょうぶしょうかかんぞうえい))では口からバリウムと発泡剤(はっぽうざい)を飲みますが、大腸がんの検査(注腸検査(ちゅうちょうけんさ))ではバリウムと空気を肛門(こうもん)から送り込み、胃や腸の粘膜(ねんまく)のひだが鮮明に見えるように撮影します。これは二重造影法(にじゅうぞうえいほう)と呼ばれ、病変の範囲や深達度(がんが浸潤(しんじゅん)している深さ)などが推定できて、早期がんも容易に発見できます。
 胆嚢や胆管(たんかん)のがんの検査では、ヨード剤を点滴(てんてき)で静脈注射してX線撮影します。内視鏡を挿入し、十二指腸につながる胆管から造影剤を注入する内視鏡的膵胆管造影法(ないしきょうてきすいたんかんぞうえいほう)(ERCP)や、腹部の外側から針を刺して肝臓(かんぞう)内の胆管にヨード剤を注入する経皮経肝胆道造影(けいひけいかんたんどうぞうえい)(PTC)が行なわれることもあります。
 そのほかに、からだの各部位の造影検査として、脳室(のうしつ)造影、唾液腺(だえきせん)造影、気管支造影、腎盂(じんう)造影、膀胱(ぼうこう)造影、子宮卵管(しきゅうらんかん)造影などがあります。
 また、疑わしい臓器の血管を調べる血管造影は、精密検査としてとくに重要で、肝(臓)がんや腎(臓)がんなどによる血管の走行状態の変化や腫瘍の悪性度をみるのに有効です。
 なお、比較的簡単にすむ上部消化管造影を除き、造影検査は入院して行なわれるのが一般的です。

●CT検査(コンピュータ断層撮影)
 X線の人体透過度をコンピュータで計算し、その変化を画像化した断層写真を用いて診断します。からだの任意の箇所を輪切りにした鮮明な画像が得られ、従来のX線撮影では不可能だった臓器や血管の状態が識別でき、小さながんの診断も可能になりました。
 頭部では脳腫瘍(のうしゅよう)や上顎(じょうがく)がん、上咽頭(じょういんとう)がんなどの頭頸部(とうけいぶ)がんの診断にめざましい効果があり、また肺がんや縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)、あるいは縦隔のリンパ節への転移(てんい)を診断するのに欠かせない検査です。
 腹部では、肝がん、膵(すい)(臓)がん、腎(じん)がん、卵巣(らんそう)がん、骨盤内(こつばんない)臓器(子宮、膀胱(ぼうこう)など)のがんなど、おもに実質臓器(内部が空洞(くうどう)でなくつまっている臓器)のがん診断にすぐれ、腹部のリンパ節腫大(しゅだい)もはっきりわかります。
 近年、精密な三次元立体画像の得られるヘリカルCTも開発されています。

●MRI検査(磁気共鳴画像診断)
 磁力を用い、コンピュータによってからだの断面を画像化する検査法です。からだの輪切り像だけでなく、縦や斜めなど、あらゆる方向の断層写真が鮮明に得られる利点があります。
 血液や筋肉、内臓などの状態をみるのにすぐれ、骨に囲まれた部分の脳腫瘍や脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)、脳へのがん転移などの診断にはとくに有効です。最近では、MRIを用いて、造影剤なしに血管の構造や血流の状態を鮮明に写し出すMRA(磁気共鳴血管造影法)という検査法も開発されています。

●RI検査(シンチグラフィー)
 ガンマ線などの放射性同位元素(ほうしゃせいどういげんそ)(RI、ラジオアイソトープ)を静脈注射し、体外に放出される放射線を撮影して診断する検査法です。甲状腺(こうじょうせん)や肝臓、腎臓のがん、骨転移したがんなどの診断に使われます。

●超音波検査
 弱い超音波をからだにあて、臓器や組織からの反射波を画像化して診断します。まったく苦痛がなく、簡単に操作できるので、甲状腺、乳腺(にゅうせん)、肝臓、胆嚢(たんのう)、胆管、膵臓、腎臓、前立腺、膀胱、子宮、卵巣など、各科の診断に広く使われています。
 ただし、超音波は骨や空気を通りにくいので、骨や頭蓋骨(ずがいこつ)内の脳、内部に空洞のある肺、胃、腸などの検査には、あまり適しません。そこで、肺や胃腸では内視鏡(ないしきょう)の先端に超音波診断装置をつけた超音波内視鏡検査も行なわれています。

●内視鏡(ないしきょう)検査
 細長い管(ファイバー)の先端についたレンズで体内を直接見たり、撮影することができます。肺がんには気管支内視鏡、食道、胃、十二指腸のがんには上部消化管内視鏡、大腸がんには下部消化管内視鏡が用いられます。先端につけた装備で、がんの病理診断を行なうために病変部の組織を採取したり、同時に治療が行なわれるなど、がん診療の重要な手段となっています。
 そのほかにも、肝臓、胆嚢を調べる腹腔鏡(ふくくうきょう)検査、婦人科の腟拡大鏡(ちつかくだいきょう)、泌尿器科(ひにょうきか)の膀胱鏡(ぼうこうきょう)など、各科特有の形をした内視鏡が用いられています。

●病理学的検査
 がんの診断は、最終的にがん細胞を確認することで初めて可能です。画像診断などの精密検査で疑われる病変部の細胞や組織を採取して、顕微鏡でがんであるかどうかを確認する検査が病理学的検査です。これには、細胞診検査と病理組織検査があります。
①細胞診検査
 採取した検体の中に1個でもがん細胞が見つかれば、がんと診断します。
 たんや気管支洗浄液で肺がん、腟分泌液(ちつぶんぴつえき)で子宮頸(しきゅうけい)がん、尿で膀胱がんや腎がん、リンパ節穿刺(せつせんし)(針を刺して採取する)で悪性リンパ腫(しゅ)やリンパ節転移がん、胸水や腹水でがん性の腹膜炎(ふくまくえん)や胸膜炎(きょうまくえん)が診断できます。
 このうち、簡単に採取できるたんと腟分泌液は、肺がんと子宮頸がんの集団検診に利用されています。
②病理組織検査
 病変の認められる臓器組織の一部を摘出(てきしゅつ)して、がん化した細胞集団がないかを検査するものです。治療前の確定診断のために摘出する場合を生検(せいけん)(バイオプシー)といい、内視鏡検査の際にもよく行なわれます。
 この検査によって、がんの種類や悪性度、がんの広がりなどがわかります。治療方針を決定するために欠かせない情報を与えてくれる重要な検査です。

●腫瘍(しゅよう)マーカー
 腫瘍が発生すると、血液中に含まれる量が増えたり、血液中に新たに出現したりする物質があります。それを腫瘍マーカー(「腫瘍マーカー」)といいます。がんが発生すると、この腫瘍マーカーが陽性になるのですが、良性腫瘍や腫瘍以外の病気でも陽性になることも多く、陽性になれば必ずがんというわけではありません。ほかの検査結果と照らし合わせて、がんかどうか判断します。
 また、がんができたときだけ、血液中に出現してくる物質があると考えられています。これはがん特異抗原(とくいこうげん)と名づけられ、がんを特定する有効な診断法として期待されていますが、まだ確実な物質は発見されていません(「がんの免疫療法」)。

出典|小学館
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