ガーティン(読み)がーてぃん(その他表記)Thomas Girtin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガーティン」の意味・わかりやすい解説

ガーティン
がーてぃん
Thomas Girtin
(1775―1802)

イギリス画家商人の子としてロンドンに生まれる。初め画工として古城古寺景観水彩で描き、ゴシックリバイバル風潮にもかなって、早くから才能を認められた。自然への共感を率直に描く決断力は厳格さと優雅さをもつ。胸を病んで27歳で早世したが、それまで職人の仕事とされていた水彩画に新生面を開いた。広い自然のなかの孤独と自由の感情はロマン派先駆をなし、同時代の多くの風景画家に影響を与えた。ターナーは彼とともに旅して多くを学び、コンスタブルも彼の作品に接してから絵が変わったという。

[岡本謙次郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「ガーティン」の意味・わかりやすい解説

ガーティン
Thomas Girtin
生没年:1775-1802

イギリスの水彩画家。早くから生地ロンドンをはじめイギリス各地で風景や建築のスケッチを行う。20歳を過ぎた頃から病身となるが,1801-02年パリに赴き,パリやフランス各地の景観を多くの素描や水彩画に写す。当時消耗品として機械的に制作されることの多かった水彩画を,簡潔な様式と調和した色彩によって芸術的創作の域に高めた。美術史における彼の影響は間接的であるが,少年時代から交友のあったターナーは,〈彼が生きていたら,私は飢えていただろう〉と,その才能をたたえたという。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガーティン」の意味・わかりやすい解説

ガーティン
Girtin, Thomas

[生]1775.2.18. ロンドン
[没]1802.11.9. ロンドン
イギリスの水彩風景画家。水彩画家 E.デイズに師事。 1794~97年,J.ターナーとともに鑑定家 T.モンローに雇われ,J.カズンズの絵を複製する仕事にたずさわる。 96年イングランド北部およびスコットランド南部をスケッチ旅行。師のデイズの地勢図的様式を脱し抒情性に富む作風を展開。 1801年6ヵ月間パリに滞在,このときの風景素描からのちに一連の銅版画を制作。パリから帰って半年後に 27歳で夭折。作品の多くは大英博物館とビクトリア・アンド・アルバート美術館に所蔵されている。

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