日本大百科全書(ニッポニカ) 「キルヒナー」の意味・わかりやすい解説
キルヒナー
きるひなー
Ernst Ludwig Kirchner
(1880―1938)
ドイツの画家。5月6日アシャッフェンブルクに生まれる。1901~05年ドレスデンで建築を学ぶ。この間03~04年ミュンヘンの画家オプリストHermann Obrist(1863―1927)について絵画を学んだ。05年ドレスデンで同学の友ヘッケル、シュミット・ロットルフらと表現主義の最初のグループ「ブリュッケ(橋)」派を結成し、そのリーダーとして活躍する。奔放多彩な初期の絵にはムンク、ゴーギャンおよび黒人彫刻の影響が強い。
1911年ベルリンに移住し、閉鎖的なコンポジションと鋭角的なフォルムによる大都会の街頭風景画に新機軸を生む。第一次世界大戦に従軍して結核となり、17年以後スイスのダボスのサナトリウムにあってアルプスの山岳風景を描く。この時期には形態の抽象化が目だつ。ナチスにより退廃芸術家の烙印(らくいん)を受け、38年6月15日自殺した。木版画にも優れている。
[野村太郎]