デジタル大辞泉
「嵐」の意味・読み・例文・類語
あらし[書名・絵画]
(嵐)島崎藤村の小説。大正15年(1926)「改造」誌に発表。母を失った子供たちの成長と巣立ちを見守る作者の心境を描く。
(あらし)《原題、〈イタリア〉Tempeste》イタリアの女流詩人・小説家、ネグリの詩集。1896年刊。
(嵐)《原題、〈イタリア〉La tempesta》ジョルジョーネの絵画。カンバスに油彩。縦82センチ、横73センチ。牧人らしき若者と乳飲み子を抱く女性を描いたもの。ベネチア、アカデミア美術館所蔵。テンペスタ。ラ‐テンペスタ。
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あら‐し【嵐】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 荒く吹く風。古くは、静かに吹く風に対し、荒い風、はげしく吹く風をいい、特に、山風や山おろしのことが多い。のち、暴風、烈風、颶風(ぐふう)などを含んで、広く強風の意に用いる。和歌では「有らじ」と掛け詞にして用いることがある。
- [初出の実例]「ぬば玉の夜(よる)さり来れば巻向(まきむく)の川音(かはと)高しも荒足(あらし)かも疾(と)き」(出典:万葉集(8C後)七・一一〇一)
- 「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ〈文屋康秀〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・二四九)
- ② 特に、雨を伴う、はげしい風。暴風雨。
- [初出の実例]「所が其晩は風雨(アラシ)でネ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一〇)
- ③ ( 比喩的に ) 社会、家庭、人生などでの、困難や争い、不和。また、大ゆれにゆれ乱れること。
- [初出の実例]「あいかたの女郎、身代のよいうちはうまくし給ひ、今はさぞあらしはげしく吹給らん」(出典:随筆・独寝(1724頃)下)
- ④ 電磁気の擾乱(じょうらん)の現象。磁気嵐。
- ⑤ =あらし(嵐)の日
- [初出の実例]「嵐の前に傾城(けいせい)は気がもめる」(出典:雑俳・川傍柳(1780‐83)二)
- [ 2 ] 短編小説。島崎藤村作。大正一五年(一九二六)発表。男手一つで育ててきた四人の子供たちの巣立ちを適度の感傷をこめて描く。
嵐の語誌
( 1 )語源として「アラ(荒)+シ(風)」と見るのが通説であるが、アクセントから「おろし」との関係を考える説もある。
( 2 )「万葉」をはじめ歌の世界では、「やまおろし」とほぼ同義に理解されていたらしい。
( 3 )「嵐」字は本来「山気(もやのようなもの)」の意であったが、唐代には「山風」の意が見られ、仏典には「毘嵐」(猛迅風)の表記がある。日本でも平安時代の初期には「あらし」と結びついていた。
あらし【嵐】
- [ 一 ] 姓氏の一つ。
- [ 二 ] 歌舞伎俳優の姓の一つ。嵐三右衛門に始まり、おもに上方で活躍。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「嵐」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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嵐
あらし
storm
風雨が非常に強い状態。気象学では天気図に現れる独立した擾乱を意味し,大きさは問題とせず,雷雨から低気圧まで含まれる。水文学では特定地域の降雨の時間的,空間的分布の意味に用いられる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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嵐
イタリア、ベネチア派の画家ジョルジョーネの絵画(1508頃)。原題《La tempesta》。遠くで雷が光る不穏な曇り空の下、牧人と思しき若者と乳飲み子を抱く女性を描いたもの。何を主題とした絵であるかについては、いまだ定説のない謎めいた作品として知られる。ベネチア、アカデミア美術館所蔵。
出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報
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