約2億5000万年前の二畳紀に中国,朝鮮,日本を中心として栄えたシダ種子類の葉に与えられた形態属名。現生広葉樹の葉に似た単葉をもつ植物でタイ,マレーシア,スマトラまで広がり,アメリカのテキサス州からも報告されている。東アジアのカタイシア植物群を代表する植物で,カタイシア植物群はギガントプテリス植物群とも呼ばれている。シダ類やシダ種子類はほとんどが羽状複葉だったので,単葉を示すギガントプテリスは珍しく注目されていた。この単葉は葉に種子をつけていて,3回羽状複葉のエンプレクトプテリスEmplectopterisに由来した進化の過程がよく判明しているのでシダ種子類と考えられている。この植物の進化過程によって単葉は羽状複葉から由来することがわかった。北アメリカから報告されたギガントプテリスは東アジアのものとは系統が異なり,東アジアから北アメリカへ移動したものではない。
執筆者:浅間 一男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この中で石炭紀の植物は欧米植物群に近く,時代が若くなるにつれてカタイシア植物群特有の植物が多くなる。代表的な植物は現生の広葉樹の葉に似た単葉のギガントプテリスGigantopterisで,そのためギガントプテリス植物群とも呼ばれている。カタイシア大陸の気候の乾燥化にともなって生じた植物群で,特徴的なものとしては有節植物のLobatannularia,Schizoneura,シダ種子類のギガントプテリス類,Callipteridium,Taeniopteris,Protoblachnum,ネゲラシア類のTingiaなどがあり,日本からはギガントプテリスが福島県いわき市の高倉山から,カタイシオプテリスCathaysiopterisが宮城県の米谷(まいや)から知られている。…
…この中で石炭紀の植物は欧米植物群に近く,時代が若くなるにつれてカタイシア植物群特有の植物が多くなる。代表的な植物は現生の広葉樹の葉に似た単葉のギガントプテリスGigantopterisで,そのためギガントプテリス植物群とも呼ばれている。カタイシア大陸の気候の乾燥化にともなって生じた植物群で,特徴的なものとしては有節植物のLobatannularia,Schizoneura,シダ種子類のギガントプテリス類,Callipteridium,Taeniopteris,Protoblachnum,ネゲラシア類のTingiaなどがあり,日本からはギガントプテリスが福島県いわき市の高倉山から,カタイシオプテリスCathaysiopterisが宮城県の米谷(まいや)から知られている。…
…舌状の単葉で二次脈が細脈となって網目を作っているのが最大の特徴で,これを含む植物群はグロッソプテリス植物群として知られている。カタイシア植物群のギガントプテリスは主脈から出る二次脈が羽状を示し,それより出る三次脈,四次脈が細脈となって網目を作るが,グロッソプテリスでは主脈から出る二次脈がすぐ網目を作るので,同じ単葉でも一見して両者の区別がつく。この植物の生殖器官は第2次世界大戦後,南アフリカで発見されたのがきっかけとなって,アフリカはもちろんゴンドワナ大陸の他の地域インドからも次々と発見されたが,形態は種々さまざまであった。…
…グロッソプテリス類は単葉で2次脈が細脈となり網目をつくる。南半球のグロッソプテリス類に対応するのは北半球のカタイシア植物群のギガントプテリス類Gigantopteridalesで,同じく単葉で3次脈,4次脈が細脈となり網目をつくるのが特徴である。カタイシア植物群では,3回羽状複葉のエンプレクトプテリスが,2回羽状複葉のギガントノクレアGigantonoclea,1回羽状複葉のビコエンプレクトプテリスBicoemplectopterisへ,ついで単葉のトリコエンプレクトプテリスTricoemplectopterisへと進化したことが判明している。…
※「ギガントプテリス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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