ギンネム(読み)ぎんねむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギンネム」の意味・わかりやすい解説

ギンネム
ぎんねむ / 銀合歓
[学] Leucaena leucocephala (Lam.) de Wit
Leucaena glauca Benth.

マメ科(APG分類:マメ科)の落葉小高木。高さ10メートルに達するものもまれにあるが、2~3メートルのものが多い。ギンゴウカンともいう。葉は2回羽状複葉で長さ15~25センチメートル、8~16の小羽片が対生し、小葉は20~30枚あり、長楕円(ちょうだえん)状披針(ひしん)形、長さ0.7~1.2センチメートルで裏面は緑白色。花は熱帯ではほとんど年中開き、球形、径2~5センチメートルの頭状花序になって香りのある白花が密生する。花弁はへら形で雄しべの3分の1の長さで小さく、多数の雄しべが目だつ。果実は長さ12~18センチメートルの扁平(へんぺい)な莢(さや)で、褐色に熟す。熱帯アメリカ原産で熱帯、亜熱帯地方に広く分布し、沖縄や小笠原(おがさわら)諸島には野生化したものがある。砂防林に植え、やせ地に肥料木として植える。また、木炭や燃料にもする。

小林義雄 2019年10月18日]

文化史

沖縄や小笠原諸島群落をつくるが、帰化植物で、スリランカから1910年(明治43)に緑肥植物として、沖縄の国頭(くにがみ)農学校に導入されたのが最初である。八重山(やえやま)列島には、1932年(昭和7)に八重山農林学校の初代校長が、燃料用の薪(たきぎ)材にする目的で導入したと伝えられ、小笠原諸島では、戦時中急造の軍事施設を隠すのに植樹したことから広がった。ミクロネシアなどでは、アメリカ軍が第二次世界大戦による荒廃地を緑化するため、空中から種子を散布した。

[湯浅浩史 2019年10月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギンネム」の意味・わかりやすい解説

ギンネム(銀合歓)
ギンネム
Leucaena glauca; jumpy bean

マメ科の常緑小高木。ギンゴウカンともいう。熱帯アメリカ原産であるが,熱帯,亜熱帯に広く帰化し,小笠原諸島や南西諸島でも野生状態になっている。ジャワでは若芽を食用とすることもある。黄白色球形の頭状花を一年中つけ,大量の種子を生じるので繁殖力が強い。扁平で長さ 5mmほどの黒褐色の種子は糸で綴ってネックレスなどの装身具をつくる。

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百科事典マイペディア 「ギンネム」の意味・わかりやすい解説

ギンネム

ギンゴウカン

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世界大百科事典(旧版)内のギンネムの言及

【ギンゴウカン】より

…ネムノキに似たマメ科の常緑樹で花が白いので,ギンネムともいう。性質が強くやせ地にもよく育つため肥料木として熱帯で利用されるほか,種子は,炒(い)ってコーヒーの代用にされたり,煮て軟らかくしてから針で糸を通しネックレスなどの工芸品も作られる。…

※「ギンネム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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