日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリスマスカクタス」の意味・わかりやすい解説
クリスマスカクタス
くりすますかくたす
Christmas cactus
サボテン科(APG分類:サボテン科)のカニバサボテンSchlumbergera bridgesii Löfgr. の英名とされているが、一般にはシャコバサボテンZygocactus truncatus K.Sch. をさす場合が多く、混乱がある。花がクリスマスのころ自然に咲くのはシャコバサボテンで、カニバサボテンは早春の2~3月に咲く。ともに花は美しい。シャコバサボテンは左右対称花で、果実は丸い。一方、カニバサボテンはほぼ放射相称花で、果実は4稜(りょう)がある。また茎頂の両端は、前者は鋭くとがり、後者は丸い。ともに葉はなく、茎は扁平(へんぺい)で、葉状茎とよばれる。
両種ともブラジル原産の着生サボテンで、ミズゴケか排水のよい腐植質の多い土に植え、冬は室内に置く。8月に水をきると花つきがよい。急激な環境変化を受けるとつぼみが落ちる。繁殖は挿木による。
シャコバサボテンはリオ・デ・ジャネイロのオルゴンス山脈(現在国立公園)で19世紀の初め発見され、1819年イギリスのハワースによってクジャクサボテン属Epiphyllumの新種として学名が与えられたが、1890年ドイツのシューマンが新設したシャコバサボテン属Zygocactusに移した。欧米で花の少ないクリスマスころに開花することから注目を浴び、19世紀末ころからドイツで改良が始められ、多数の品種を生んだ。日本へは、昭和50年代デンマークから品種が導入され、デンマークカクタスの名で、年末に多量に出回るようになった。花色が豊富なのが特徴で、赤紫、桃、赤、白色などがあり、さらに1984年(昭和59)には黄花のゴールデンチャームが登場した。
[湯浅浩史 2021年2月17日]