クリナム(読み)くりなむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリナム」の意味・わかりやすい解説

クリナム
くりなむ
[学] Crinum

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)ハマオモト属の属名。南アフリカおよび熱帯、亜熱帯の海岸地帯に原産する多年草で、100種以上を含む。春植えの球根草で、花および葉を観賞する。球根は長く肥大した鱗茎(りんけい)。葉は葉柄がなく幅広い剣状。花はユリ状の大輪花で、直立した花茎に4~10個の花を散形花序につける。日本にはハマオモトやオオハマオモトが自生する。

[平城好明 2019年1月21日]

種類

ハマオモト(浜万年青)C. asiaticum L. var. japonicum Bak.はハマユウ(浜木綿)ともいい、関東地方以西の暖かい海岸に自生する常緑の多年草。花茎は高さ約70センチメートル、葉は根生し、長さ70センチメートル、幅8センチメートルくらいで光沢があり、オモトの葉に似る。初夏から秋に、花茎の先端に、細く裂けた白い花を10~20個つける。種子は水に浮き、海流によって各地の砂浜に運ばれる。品種として、葉に黄色の縦縞(たてじま)が入るものと、星状に斑(ふ)が入るものがあり、観葉植物として楽しめる。寒さにやや弱いが、関西地方以西では露地でも越冬する。繁殖は実生(みしょう)または株分けによる。鉢植えには8号以上の鉢を用い、日当り風通しのよい所に置く。

 インドハマユウC. latifolium L.はインド原産の大形種。夏、テッポウユリに似た桃色または白色の花を多数つける。葉は長さ80センチメートル、幅10センチメートルくらいで鮮緑色。関東地方以西では露地でも越冬する。種子ができず、繁殖は株分けによる。ポウェリーC. powellii hort.はイギリスで育種された耐寒性の園芸種。花の先端は赤みを帯びる。ほかに赤紫色のアマビレC. amabile Donn、桃色を帯びた白色のムーレイC. moorei Hook.f.などがある。

[平城好明 2019年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリナム」の意味・わかりやすい解説

クリナム
Crinum; crinum lily; spider lily

ヒガンバナ科クリナム (ハマオモト) 属の総称で,熱帯や亜熱帯に約 160種が自生する。鱗茎から十数枚の幅広い剣状葉を螺旋状につけ,その中心部から太い花茎を伸ばす。茎頂でユリのような形の花が散形花序を形成する。日本の暖地にはハマオモト (ハマユウ) が分布する。そのほかインド原産で大輪の白花をつけるインドハマユウ C.latifoliumや,南アフリカ原産で淡桃色のクリナム・ムーレイ C.mooreiなどがよく栽培される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android