回転窯とも呼ばれる横式の回転円筒窯。鋼製の円筒内に耐火煉瓦を張った窯で,円筒は5度程度の傾斜がつけられ,ゆっくり回転するようになっている。円筒の強度を確保するため保温しないので,熱効率はよくない。加熱方式には内熱式と外熱式がある。前者は,円筒下部から上部に向かって重油あるいは微粉炭をバーナーで燃焼させるもので,燃焼ガスと被焼成物とが接触し,灰が混入する。後者は,燃焼ガスと被焼成物が接触するのを避け,炉内に回転円筒を設置して,外部から加熱する方式のもの。一般には内熱式である。上部から予熱帯,焼成帯,冷却帯の3部分が構成される。被焼成物は上部から入れられ,回転によりかくはん(攪拌)されながら下方へ移動する。燃焼ガスと被焼成物は対向する。被焼成物は粒状か塊状物で熱の通りがよいため均一に焼成できる,連続して多量に焼成することができる,生産量を変えることができるなどの特徴がある。ポルトランドセメントの製造に用いられているのが代表的な例で,径が5~7m,長さ100m以上のものもある。
執筆者:清水 紀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
回転式の高温焼成装置の総称で回転窯ともいうが、通常、直径に比して長さの十分に大きい直円筒型のものをいう。長さが比較的小さい回転円筒型のものは、トロンメル型などと名づけられ、別の取扱いをされることが多い。直径数メートル、長さ数百メートルに及ぶセメント焼成炉が代表的な例である。ロータリーキルンは、普通、水平に対してわずかに勾配(こうばい)をつけて設置され、緩やかに回転させながら、上方より原料を供給し、下方に設けられた燃焼装置から火炎を送る。高温の燃焼ガスは、原料と対向して接触しながら、その反応や予熱に携わる。通常、単一の原料ではなく、複数の原料が用いられるので、原料鉱石はあらかじめ粉砕・調製(水を加えて練り合わされることもある)後、キルン上方より供給される。この原料は、円筒の回転に伴って下方へ移動しながら高温ガスに接触し、予備的な脱水や反応を行いつつ焼成に必要な温度(通常、千数百℃)に至り、焼成される。温度区分は対象物によって異なり、有機高分子材料の焼成は200℃程度で行われる。
[河村祐治]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
鋼製の円筒内部を耐火れんがで内張りした横型炉.円筒軸は3~5% 傾斜させてある.回転している円筒炉の上部より原料を入れ,下部にバーナーを置き加熱する.原料は回転により炉中を下降しながら乾燥,加熱,焼成される.大きさは直径3~6 m,長さ80~200 m,1日に約500~7000 t 焼成することができる.セメントクリンカー,石灰,人工軽量骨材,耐火物原料などの連続焼成に適するが,低温部での熱効率が低いため,いろいろな改良がなされている.均一焼成のため複数のバーナーをもつものもあり,とくに日本で開発されたR.S.P.,S.F.,M.F.C.方式はロータリーキルンとプレヒーターの間に助燃バーナーを有し,全体の熱効率を高め,しかも窒素酸化物の排出を低減し,大型化にも有効である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
「クルップ=レン法」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…窯を作業面から分類すると,連続窯とバッチ窯とになる。
[連続窯]
トンネル窯,ロータリーキルン(回転窯),タンク窯,竪窯(シャフト窯)がある。トンネル窯は,被焼成物を台車の上にのせ,入口から予熱部,焼成部,冷却部,出口へと移動させる。…
※「ロータリーキルン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新