クープマンス(英語表記)Tjalling Charles Koopmans

改訂新版 世界大百科事典 「クープマンス」の意味・わかりやすい解説

クープマンス
Tjalling Charles Koopmans
生没年:1910-85

オランダに生まれアメリカに帰化した経済学者。ユトレヒト大学で物理学と数学専攻ジュネーブで国際連盟のエコノミストを務めたあと,1940年アメリカに移住プリンストン大学研究員を経て,第2次大戦中は英米両国間の統合海運調整委員会に勤める。シカゴ大学教授(1948-55)を経てイェール大学教授(1955-81)。75年L.カントロビチとともに〈資源の最適配分理論に対する貢献〉でノーベル経済学賞を分け合った。彼は,アクティビティと呼ばれる固定された投入産出関係で個々の生産技術をあらわし,複数のアクティビティの効率的な組合せとして生産過程を厳密に定式化した。そして生産過程の効率性が財の計算価格と密接に関連していることを示し,効率的資源配分問題における価格機構の役割を明らかにした。これがアクティビティ・アナリシスactivity analysis(活動分析)と呼ばれている理論で,論文集《生産と配分のアクティビティ・アナリシス》(1951)で展開され,その後の最適資源配分理論に大きな影響を与えた。経済成長の最適性を決める規準の分析や,計量経済学の方法論の確立にも業績を残している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クープマンス」の意味・わかりやすい解説

クープマンス
Koopmans, Tjalling Charles

[生]1910.8.28. スクラーブラント
[没]1985.2.26. コネティカット,ニューヘーブン
オランダ生れのアメリカの経済学者。ユトレヒト大学,ライデン大学で学び,1936年オランダ経済学院講師,38年国際連盟に勤務。第2次世界大戦によりアメリカに亡命して 46年帰化。ニューヨーク大学講師などを経て 44年シカゴ大学コールズ・コミッション研究員,48年以降同所長として戦中,戦後における計量経済学の分野の飛躍的発展に貢献。 61~67年コールズ・ファウンデーションディレクター,諸大学の教授,諸学会会員,役員歴任。資源の最適配分の理論への貢献により 75年 L.V.カントロビッチとともにノーベル経済学賞受賞。主著"Statistical Inference in Dynamic Economic Models" (1950) ,"Activity Analysis of Production and Allocation" (51) ,"Three Essays on the State of Economic Science" (57) など計量経済学,線型経済学,一般均衡理論などの面で論文,著書多数。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クープマンス」の意味・わかりやすい解説

クープマンス
くーぷまんす
Tjalling Charles Koopmans
(1910―1985)

アメリカの経済学者で、専門分野は数理経済学および計量経済学。オランダに生まれる。ライデン大学に学んだのち、国際連盟事務局のエコノミストを経てアメリカに渡り、以後、プリンストン、シカゴ、エールの各大学を中心に研究活動を行ってきた。なかでも1944年以降、経済研究コールズ財団の研究主幹あるいは研究スタッフとして行った研究業績は有名で、動学的経済モデルの統計的推定論、経済モデル構成上の認定問題、同時線形経済モデルに関する完全情報最尤(さいゆう)推定法の開発、生産と資源配分に関する活動分析などの仕事は、その後の計量経済学および数理経済学上の諸問題の新たな展開の基盤を形成するものとなっている。これらの業績によって75年にはノーベル経済学賞を受賞した。

[高島 忠]

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世界大百科事典(旧版)内のクープマンスの言及

【アクティビティ・アナリシス】より

…アクティビティ・アナリシスは,現実の工学的生産技術のもつ特徴をできるかぎり忠実に抽象化したうえで,それを鍵概念として生産分析を操作可能な形式で再構想しようという,数理経済学上の試みである。1950年前後からアメリカの経済学者クープマンスTjalling Charles Koopmans(1910‐85)らを中心に,OR(オペレーションズ・リサーチ)学者,数学者,統計学者などが協力して学際的に研究された。学問領域としては,50年代までにすでに理論的基礎が完成し,近年では独自の領域として言及されることはまれだが,これはこの領域が死んだためではなく,生産分析における当然の前提として基礎理論の不可欠の一部に組み込まれ,いわば正統理論化された現実の反映にほかならない。…

※「クープマンス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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