日本大百科全書(ニッポニカ) 「グランゼコール」の意味・わかりやすい解説
グランゼコール
ぐらんぜこーる
grandes écoles
フランスにおいては、国立大学よりもはるかに社会的な権威の高い高等教育機関が多数存在している。これらの学校は総称して「グランゼコール」とよばれている。フランスは、ルイ14世の絶対王制以降、とくにナポレオン帝政を通じ中央集権体制が強固なものとされ、中央政府は多くの優秀な官僚を必要としてきた。そして、この目的を達成するためのエリート官僚の計画養成機関が、まさにグランゼコールであった。
すでに1700年代までに、文部省所管のエコール・ノルマル・シュペリュール(高等師範学校)、国防省所管のエコール・ポリテクニク(理工科大学校)などの有名校を含む相当数のグランゼコールが設立された。なお、立法・行政分野の要人を多数輩出している総理府所管のエコール・ナショナル・ダドミニストラシオン(国立行政学院)は、1945年に設置されたグランゼコールである。グランゼコールに入学するのがむずかしいといわれているのは、有名高等中学校(リセlycée)に設けられている進学準備学級classes prépratoires aux grandes écolesの課程を通らねばならないからである。そのためにはバカロレア(大学入学資格)試験で、きわめて高い得点が必要なほか、その学級の激烈な入学試験に合格しなければならない。歴代大統領のなかでポンピドー、ジスカール・デスタンは、それぞれ高等師範学校、理工科大学校、シラクは国立行政学院(ENA)の優等生であったことはよく知られている。
[内藤 真]