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教育制度 きょういくせいどSystems of education

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

教育制度
きょういくせいど
Systems of education

教育法規に基づいて成立している教育に関する制度。単に教育法規の体系を意味するものではなく,歴史的伝統と社会的公認を基盤とし,持続性をもって一定の社会的機能を果している教育の機関,作用などの総体をさしている。狭くは学校制度と同義にも用いられるが,生涯学習などの学校外の諸制度をも含めて使われることも多い。広義には教育行政のための制度などを合せて教育に関する制度を総称する。

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就活用語集(就活大百科 キーワード1000)の解説

教育制度

新人社員研修に始まり、社内での役職などに基づいて行われる階層別研修や、個々の職種に必要とされる知識や技能に関する職種別研修など、会社には人材育成のための、さまざまな教育制度があります。自分の入社後のキャリアアップをイメージするためにも、どのような教育制度があるのかをしっかりチェックしておきましょう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

教育制度
きょういくせいど

教育上のある目的を実現するための組織であって、しかも社会的に公認され定着しているものを総称する。社会生活の必要によって生まれたさまざまな教育の組織は、一般に社会的公認の拡大と強化に伴って、慣行的なものからしだいに法制化された教育制度へ発展する。[真野宮雄]

教育制度の構成

〔1〕教育制度の分類 教育制度は、教育が行われる場によって、学校教育制度と社会教育制度に大別される。学校教育制度は、教育制度のなかでも、もっとも形式化され計画化されたものであって、教育制度と同義語に取り扱われることも多い。学校教育制度の領域分類については次のように整理できる。(1)教育程度別――初等教育、中等教育、高等教育、(2)教育目的・内容別――義務教育、教員養成、普通教育、職業教育など、(3)教育対象別――障害児教育、英才教育など、(4)教育形態別――全日制教育、定時制教育、通信制教育など、(5)設置者別――国立学校、公立学校、私立学校。
 また社会教育制度については、(1)教育対象別――青少年教育、女子教育、成人教育、高齢者教育など、(2)社会教育施設別――公民館、図書館、博物館、児童館、青年の家など、に分類できる。
 このほかに、これらの教育制度の設置・運営などによって、教育に関する諸条件を整備・確立するための組織として、教育行政制度や教育財政制度を含めることもある。
〔2〕学校教育制度の類型 学校教育制度の構造は、縦割りに区分される学校系統と、横割りに区分される学校段階とから成り立っている。複数の学校系統が並列し、ほとんど交差することのない構造をもつものを複線型学校教育制度といい、単一の学校系統のなかでいくつかの学校段階に分かれているものを単線型学校教育制度という。前者は、主としてヨーロッパ諸国に発達したもので、制度の構造からみると系統的な性格が強く、後者はアメリカ合衆国で典型的にみられ、段階的性格が強いという特色をもつ。複線型の学校教育制度は、歴史的には主として貴族上流階級の子弟を対象として教養的教育を行う学校系統(中等学校系統あるいは下構型学校系統――大学を最高教育機関として、「上から下へ」上級学校進学準備のための中等学校・予備校等が順次に構築され発達してきた学校系統という意味で、「下降型」ともいう)と、庶民階級の子弟を対象に実際的・職業的教育を行う学校系統(小学校系統あるいは上構型学校系統――小学校を基礎として、「下から上へ」補習学校または職業学校等へ延長し構築されてきた学校系統という意味で、「上昇型」ともいう)とから成り立つ。子供の所属する社会階層によってその学校教育が差別されやすいので階級的な制度ともいわれる。この複線型に対して、単線型の学校教育制度は、すべての者がその能力や希望に応じて、単一の学校階梯(かいてい)を通り、あらゆる段階の学校教育を受けることができる仕組みになっているので、民主的な制度とされている。
 学校教育制度の類型には、この二つの学校教育制度の型を両極として、その中間には分岐型学校教育制度が設けられるが、学校体系における系統性と段階性の組み合わせ方によって、のようにさらに細かく分類することもできる。それぞれの型の学校教育制度はおよそ次のような特色をもつ。
A――典型的な複線型学校教育制度。
B――複線型の一部を修正して、小学校系統の中途から中等学校系統へ移行できる道を設けた学校教育制度。
C――小学校段階を統一化したが、その上に接続する段階では、複線型と同様の複数の学校系統をそのまま残存させたもので、初期の分岐型学校教育制度。
D――統一された小学校段階をCよりも延長させ、複線型の残存部分を短縮した分岐型学校教育制度。
E――中等学校段階では複数の学校系統に分岐するが、その段階に属する学校はすべて中等学校として同格に取り扱われるもので、単線型にきわめて近い分岐型学校教育制度。
F――ほとんど単一の学校系統で構成されるが、中等学校段階では学科またはコースなどにより内部的に分化している学校教育制度。
G――典型的な単線型学校教育制度。
 これらの各類型では、Aに近いほど系統性が強く、Gに近いほど段階性が強いといえる。今日の各国における学校教育制度の型には、純粋な複線型や単線型はほとんど認められず、実際にはその中間形態である分岐型に属するものが多い。歴史的な学制改革の過程では、一般に複線型からしだいに単線型へ接近しようとする動向がみられる。そのような学制改革の進む背景には、国家的・社会的立場から生ずる国民教育の拡充、教育を受ける国民の教育要求の増大、さらに改革が実現できるような社会的・経済的諸条件の進展など、さまざまな推進要因が絡み合っているのである。[真野宮雄]

現代教育制度改革の動向

第二次世界大戦後の現代社会では、国民の教育を受ける機会の均等化(教育の機会均等)を目ざして、さまざまな教育制度の改革を図るようになった。戦後の各国では、まず義務教育制度の拡大を推進してきたが、さらに1960年代に入ると、科学技術の発展に基づく高度産業社会を目ざした国際間の経済競争が激化し、多様なしかも有能な人材の養成のために、積極的に中等・高等教育制度の改革や拡充を図るようになった。しかし近年「人間のための教育」の回復が求められ、人間ひとりひとりの成長発達過程に応じた教育を、しかも従来のような学校教育の枠内だけにとどまらず、「生涯教育」として人間の一生を通じて実現しようとする動きが強まってきた。[真野宮雄]
義務教育制度
第二次世界大戦後の各国における憲法や主要な教育関係法規には、国家がすべての国民に教育を受ける機会を均等に保障すべきであるという立場が明示されるようになった。その具体的な施策の一つとして、義務教育年限の延長運動が展開されたが、この運動は、単なる年限延長という形式的な問題だけではなく、学校教育制度上にも重要な影響をもたらした。すなわち、義務教育年限の延長に伴って、義務として要求される就学期間中には、いくつかの学校段階を含むようになる。かつては義務教育とは初等教育のみとする見方が強く、どのように年限が延長されてもすべてが小学校系統に属するものとして取り扱われていたが、今日では義務教育の後期段階を明らかに中等教育段階として位置づける方向に進んでいる。その結果、小学校段階の統一化の進行とともに、中等教育段階の再編成をいっそう促進することとなり、学校教育制度の構造における段階性優位の傾向を強めるようになった。[真野宮雄]
中等教育制度
義務教育が延長され、すべての者が中等教育段階まで到達するようになると、いままでとは異なった新しい中等教育が必要となる。かつての中等学校は、特定の選抜された生徒に対して、大学へ進学するための準備を行うという役割が強かった。ところが、今日の中等学校は義務教育の一部または全部として、すべての生徒を対象に、ある者には卒業後実社会ですぐに生活できるような能力を与えようという完成教育的な役割を、またある者には上級学校へ進学できるような能力を与えるという準備教育的な役割を、ともに果たさなければならなくなった。そこで、新しい中等学校では、将来の市民の育成、労働者の養成、人格の陶冶(とうや)を基本として、多様な生徒の能力と適性に応じ、しかも卒業後の進路に役だつような教科を豊富に用意すべきであるといわれる。すなわち、すべての生徒に共通な教育を基礎としながら、さまざまな生徒の能力や適性、将来の進路によって、それぞれ十分に選択できるような多様な教育を組織しなければならなくなるのである。
 すでに、各国における中等教育制度改革の一般的傾向では、初等学校の上に中等学校を接続させるだけではなく、同一の段階に並列している各種類の学校あるいは課程の間の移行ができるようにしたり、共通な教育課程の期間の延長や、必修・選択教科制の導入などを図ろうとしている。さらに、多種類の中等学校や、あるいは同一学校内にある各種の課程をしだいに総合化しようとする動きも認められる。たとえばイギリスでは、1944年教育法以後において、共通な初等学校の上にグラマー・スクールgrammar school、テクニカル・スクールtechnical school、モダーン・スクールmodern schoolの3種の中等学校が接続するようになったが、1960年代以降には、これらの中等学校の並置あるいは総合する総合制中等学校comprehensive schoolの普及に伴い、三分岐型の学校体系を維持している地域はわずかとなり、とくにテクニカル・スクールはほとんどみられなくなった。フランスにおける1959年の改革では、長期にわたる進路指導の実現を目ざして、各中等学校の前期段階に観察指導課程(最初は2年、のちに4年となる)をそれぞれ設けるようになったが、さらに観察指導の効果をあげるために、1963年より各中等学校の前期コースを同一施設内に置く総合制の中等教育学校コレージュcollge d'enseignement secondaire(フランス語)が設けられ、1975年の改革(アビ改革)以降には、前期中等教育を行うコレージュcollge(フランス語)に統一化された。ただし、後半の2年間には、職業教育系統を中心に多様に分岐するコースがなお残存している。またドイツにおいても、一部の州では、ギムナジウムGymnasium(ドイツ語)、実科学校Realschule(ドイツ語)、ハウプトシューレHauptschule(ドイツ語)の3種の学校を総合した総合制学校、あるいは実科学校とハウプトシューレをあわせた新しい学校種が設けられるようになった。
 このような各国における新しい中等教育を創造するための試行に対して、日本では、まださまざまな問題が存在している。たとえば、中学校と高等学校とに明確に区分された中等教育二段階制の問題、あるいは後期中等教育における多様化傾向、さらには受験競争の激化に伴う特定の普通高校への集中現象など、なお困難な検討課題が認められる。これらの課題を解決するために、近年各地では、集合型選択制高校、学科総合型高校、全寮制高校、単位制高校など新構想による高等学校新設の試みが行われるようになった。さらに、1994年度(平成6)には、普通科、専門学科に並ぶ新学科として総合学科が創設され、また1998年には学校教育法の改正によって、中高一貫制の趣旨に基づく中等教育学校が新設された。[真野宮雄]
高等教育制度
科学技術の急速な発達は、いっそう高度の研究者や技術・技能者を多量に必要とするようになり、各国では中等教育改革の進行とともに、高等教育制度の拡充計画が重点的に取り上げられるようになってきた。それに伴って、各国の高等教育人口の量的増大は著しく、日本でも大学・短期大学等の高等教育機関への進学率の増加は、アメリカに次いで高くなっている。
 これまで、高等教育機関の中心とされてきた大学は、おもに次のような目的によって機能してきた。すなわち、大学は、第一に文化の伝達と創造という歴史的・社会的使命のもとに、とくに学問研究と研究者養成の役割を果たすものであり、第二に特定の選ばれた階層の子弟のみを対象とすることによって国家的指導者養成の機能を負うものとされてきた。そのために、入学志望者には一定の能力や社会的地位・身分などが要求され、しかも彼らはそれ以前にいくつかの選抜方式を経て淘汰(とうた)されてきた。したがって大学は、その研究機関的性格と特権的性格に基づいて、中等教育以下の学校とは明確に区別されるとともに、さらに特定の中等学校系統のみに接続する機関として存在することが多く、たとえ他に同年齢層の者を収容する上級教育機関が並列していても、それらとは峻別(しゅんべつ)されるという系統的性格を備えていたのである。
 第二次世界大戦後における教育制度改革の進行に伴って、高等教育レベルにも多様な教育機関が設けられ、また多数の中等教育修了者が進学できるようになってきた。その結果、高等教育は、第一段の教育(初等教育)および第二段の教育(中等教育)の上に連続的に置かれた「第三段の教育」として、学校段階上の一区分のなかに位置づけられようとしている。それと同時に、高等教育機関の中心とみなされてきた大学の機能も、いまや新しい科学の発達による学際的領域の拡大や学問系列の再編成に伴った研究、有為な社会人形成のための教養教育、高度の一般教養と結合した基礎的・応用的専門教育の場に変革されようとしている。
 大学は、多様な教育要求にこたえるとともに、諸科学の研究の急速な発展のために、教育・研究の両面においてますます多様化・巨大化する傾向にある。そのため欧米諸国のみならず日本でも、新構想大学や新設部門の設置、大学カリキュラムの改革、さらには入試制度の改善などが進められている。
 さらに、大学は他の高等教育機関との関連も深めながら、いっそう多数の各種階層や多様な年齢層の学生を吸収するようになり、いまや生涯学習あるいはリカレント教育recurrent educationにおける新しい役割も期待されている。すでに日本でも、社会人への門戸開放を促進するために、大学や大学院における夜間制や昼夜開講制、あるいは通信制(放送教育を含む)などの多様な教育形態が拡大されつつある。[真野宮雄]

開発途上国における教育制度改革の動向

開発途上国における全般的な動向には、次の二つの特徴が指摘できる。まずこれらの国では、独立以前から温存されてきた伝統的な社会・文化構造への対応が問題とされてきた。とくに複合民族国家における国民教育形成上の中心的課題は、複数の民族・集団を、政治・経済部門のみならず社会文化生活上も統合し国民形成を達成する「国民統合政策」への推進にあった。この教育課題は、それまでの民族・言語別、あるいは植民地エリート・大衆別の複線型学校制度を、統一的な国民教育制度へ改革しようとして具体化されてきた。
 もう一つの特徴は、経済機構上の近代部門と伝統部門の二重構造克服のため、経済の発展に寄与する教育改革が絶えず試みられてきたことである。たとえば、東南アジア諸国の改革動向には、初等学校から上級中等学校までの各学校段階における科学技術教育の振興に重点を置く教育課程の導入(インドネシア、1994年以降)、義務教育年限の6か年から9か年への延長と進学率向上のための教育課程の多様化(タイ、1992~1996年)、少なくとも10か年の学校教育が受けられるようにするための初等・中等教育段階での学校系統の再編成(シンガポール、1990年代初頭)、基礎教育の重視と人材育成のための初等・中等教育における教育課程の改訂と国立中等学校における無償制の実施(フィリピン、1990年代前後より)などが認められる。
 開発途上国における今日的な教育改革の現状と課題には、次の三つを指摘できる。
(1)初等教育段階では、無償・義務教育の徹底化によって、就学率・識字率の向上が図られている。近年では、義務教育の期間を中等教育段階にまで延長する国もみられるが、反面まだ義務教育制の存在しない国もある。また、就学状況では、8割以上の在学率に達する国も多くなっているが、他方では上級学年における中途退学者の増加や地域的条件による格差等も認められる。
(2)中等教育段階では、経済発展への必要から労働者の質的向上を図ろうとする方策が重視されてきている。そのため、さまざまな生徒の能力や適性、将来の進路をより有機的に組織化する施策として、必修・選択教科制の導入や総合制中等学校制度の導入を積極的に試みている国もある。
(3)学校教育と並んで、成人・継続教育の充実がますます図られている。とくに、成人に対する識字教育や職業・技術教育等を目的としたさまざまなレベルの教育が行われている。これらの教育は、一般に学校制度の枠外におけるノン・フォーマル教育として、開発途上国では、なお重要な役割を果たしている。[真野宮雄]
『真野宮雄・桑原敏明編著『教育権と教育制度』(1988・第一法規出版) ▽小山俊也著『教育制度の動向・構造――世界の教育制度』(1993・明星大学出版部) ▽伊藤秀夫・真野宮雄編著『教育制度の課題』(1975・第一法規出版) ▽河野重男編著『現代教育講座3 現代の学校』(1975・第一法規出版) ▽真野宮雄編著『現代教育制度』(1977・第一法規出版) ▽沖原豊・真野宮雄・藤原英夫編著『講座 教育行政2 教育制度と教育行政学』(1978・協同出版) ▽辻功・木下繁弥編『教育学講座20 教育機会の拡充』(1979・学習研究社) ▽真野宮雄編著『生涯学習体系論』(1991・東京書籍) ▽教育制度研究会編『要説 教育制度』(1991・学術図書出版社) ▽文部省編『諸外国の学校教育〈欧米編〉』(1995・大蔵省印刷局) ▽文部省編『諸外国の学校教育〈中南米編〉』『諸外国の学校教育〈アジア・オセアニア・アフリカ編〉』(1996・大蔵省印刷局)』

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