グランビル(その他表記)Grandville

改訂新版 世界大百科事典 「グランビル」の意味・わかりやすい解説

グランビル
Grandville
生没年:1803-47

フランスの風刺画家版画家。本名ジェラールJean-Ignace-Isidore Gérard。ナンシーで生まれ,1825年からパリで制作。石版画集《真昼のメタモルフォーズ》(1829)で獣頭人物や変身への偏愛を示し,名声を得た。30-36年にドーミエらとともに《カリカチュール》誌や《シャリバリ》誌に寄稿,激しい政治風刺の先鋒に立つが,その本領は後期の奔放な空想力が生んだ作品群にある。銅版画集《もう一つの世界》(1844)は現実の秩序を外れた別世界の住民たちが軽快なデッサンで描かれ,その異様で怪奇なイメージにもかかわらず,幼児的な乾いた明るさが全体を支配している。20世紀に入りその作品はシュルレアリストによって再評価された。精神病で没す。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グランビル」の意味・わかりやすい解説

グランビル
Glanvill, Joseph

[生]1636
[没]1680
イギリスの哲学者。イギリス国教会神学者,牧師。 H.モアの影響を受け,ケンブリッジ・プラトニストたちと共通見解をいくつか有した。懐疑論者として知識や自然に関する不確実な理論に反対し,初期のロイヤル・ソサエティにおける実験的研究を擁護した。主著独断論の虚しさ』 Vanity of Dogmatizing (1661) ,『科学的な懐疑,あるいは無知告白こそが科学への道』 Scepsis Scientifica; or Confest Ignorance,the Way to Science (65) 。

グランビル
Grandville

[生]1803.9.13. ナンシー
[没]1847.3.17. パリ
フランスの版画家。本名 Jean-Ignace-Isidore Gérard。ミニアチュール (小型肖像画) 画家であった父について絵を学ぶ。 21歳でパリにおもむき,この年に最初の版画集『良き市民の日曜日』を出版,以後独特の風刺とユーモアを交えた数多くの版画を発表。またラ・フォンテーヌの『寓話詩』をはじめ『ガリバー旅行記』など多くの挿絵を描き,19世紀のグラフィック・アートの発展に重要な位置を占めた。

グランビル
Grainville, Patrick

[生]1947.6.1. ビレール
フランスの小説家。 1970年代に登場した新しい作家。みずから「神話的自伝」と呼ぶ3作,『羊毛』 La Toison (1972) ,『境界』 La Lisière (73) ,『深湖』L'Abîme (74) ののち,アフリカの狂気の王を主人公に,狂暴で野性的な世界を描いた幻想的作品『火炎樹』 Les Flamboyants (76) によってゴンクール賞を獲得した。

グランビル
Granville

フランス北西部,マンシュ県の港町。コタンタン半島西岸南部,サンマロ湾にのぞむロク岬に位置する。ノルマンディー地方の著名な海水浴場の一つ。ショセ島およびイギリス領ジャージー島への遊覧・連絡船の発着港があり,ヨットハーバーとしても利用される。造船工業,人口1万 2326 (1982) 。

グランビル(伯)
グランビル[はく]

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