改訂新版 世界大百科事典 「グランビル」の意味・わかりやすい解説
グランビル
Grandville
生没年:1803-47
フランスの風刺画家,版画家。本名ジェラールJean-Ignace-Isidore Gérard。ナンシーで生まれ,1825年からパリで制作。石版画集《真昼のメタモルフォーズ》(1829)で獣頭人物や変身への偏愛を示し,名声を得た。30-36年にドーミエらとともに《カリカチュール》誌や《シャリバリ》誌に寄稿,激しい政治風刺の先鋒に立つが,その本領は後期の奔放な空想力が生んだ作品群にある。銅版画集《もう一つの世界》(1844)は現実の秩序を外れた別世界の住民たちが軽快なデッサンで描かれ,その異様で怪奇なイメージにもかかわらず,幼児的な乾いた明るさが全体を支配している。20世紀に入りその作品はシュルレアリストによって再評価された。精神病で没す。
執筆者:小勝 礼子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報