哲学用語。ドグマとは、もともとギリシア原語では意見、定説を意味していて、ギリシアの懐疑論者が、積極的に自然に関して主張する哲学者をドグマティストとよんだのである。中世においては、カトリック教会によって公認され権威づけられた教理がドグマとよばれた。近代に至り、カントが、自らの批判哲学に対して、十分な反省と根拠なしに哲学説を主張する者を独断論者とよんだ。反省というのは、人間が自らの認識能力の限界を見極めることを意味しているから、カントにあっては自らの批判哲学以外の哲学説はみな独断論ということになる。
また、マルクス主義における、理論を絶対化するいわゆる教条主義もこのドグマティズムの訳であるが、こうした歴史からもわかるように、自分の思い込みだけで特定の説を主張するものを独断論というようになったのである。
[武村泰男]
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…人間的認識の主観性と相対性を強調して,人間にとって普遍的な真理を確実にとらえることは不可能だとする思想上の立場。独断論dogmatismに対する。広義にはあらゆる普遍妥当的な真理の認識可能性を否定する立場を指すが,狭義には特定の領域,例えば宗教や道徳において確実な真理に到達する可能性を否定する立場を指すのにも用いられる。…
※「独断論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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