デジタル大辞泉 「けむ」の意味・読み・例文・類語
けむ[助動]
1 過去の事実についての推量を表す。…ただろう。…だったろう。
「この国に跡を垂るべき宿世こそありけめ」〈更級〉
2 過去に起こった事実の原因や理由について推量する意を表す。…たのだろう。…だったのだろう。
「時々の花は咲けども何すれそ母とふ花の咲き
「み
3 多く下に体言を伴って、過去の事実を他から伝え聞いたこととして表す。…たとかいう。
「顕基の中納言の言ひけん配所の月、罪なくて見んこと、さもおぼえぬべし」〈徒然・五〉
[補説]過去の助動詞の終止形「き」に推量の助動詞の古形「あむ」が付いた「きあむ」の音変化ともいう。主として中世以後は「けん」とも表記。なお、未然形の「けま」は上代に「けまく」の形で用いられた。