ケルシェンシュタイナー(読み)けるしぇんしゅたいなー(英語表記)Georg Kerschensteiner

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケルシェンシュタイナー」の意味・わかりやすい解説

ケルシェンシュタイナー
けるしぇんしゅたいなー
Georg Kerschensteiner
(1854―1932)

ドイツの教育学者。国民学校の助教師を経てミュンヘン大学人文、自然科学を学び、ギムナジウムに勤めた(1881~1895)のち、ミュンヘン市の学務官として広範な教育改革を推進した。一方、同大学の正教授として教育学を講じながら(1918~1932)「ドイツ教育教授委員会」の議長として多大の影響を与えた。将来の国家を担う国民形成のための公民教育の重要性を指摘し、主著労作学校概念』(1912)では手工的労作、精神的労作による勤勉、忍耐などの精神的諸徳形成としての労作教育を主張した。労作協同体を介しての公民教育論は、日本の大正期を中心とした新教育運動にも、その理論的・実践的影響を及ぼした。晩年、文化教育学の影響を受け、文化のもつ価値意識形成の意義を重視するようになった。

[舟山俊明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケルシェンシュタイナー」の意味・わかりやすい解説

ケルシェンシュタイナー
Kerschensteiner, Georg Michael

[生]1854.7.29. ミュンヘン
[没]1932.1.15.
ドイツの教育学者,教育改革家。臨時教員養成所を卒業後小学校の助教員となったが,学力の不足を痛感してギムナジウムに編入学,23歳のとき大学入学資格を獲得し,ミュンヘン大学および高等工業学校において人文科学数学,自然科学を学び,ギムナジウムの教師を経てミュンヘン市の学務官となる (1895~1919) 。 E.シュプランガーの文化哲学の立場を支持し,教育学の基本概念を陶冶,興味,価値とし,価値観念を最高位においた。陶冶の実践方法として労作の原理を主張し,この原理に基づいて知識教育を最小量にとどめ,熟練,労作の喜悦を与える職業教育を中心とし,公民的陶冶を培う労作学校 Arbeitsschuleの普及に努力した。 1918年ミュンヘン大学栄誉教授に選任された。主著『公民教育の概念』 Der Begriff der staatbürgerlichen Erziehung (10) 。

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