こちこち(読み)コチコチ

デジタル大辞泉 「こちこち」の意味・読み・例文・類語

こち‐こち

[副]
かたい物をたたく音、また、かたい物とかたい物とが触れ合う音を表す語。
「細い杖の先で合土たたきの上を―叩いて」〈漱石虞美人草
時計が時を刻む音を表す語。かちかち。「時計がこちこち(と)秒を刻んでいた」
[形動]
物が干からびたり凍ったりして、ひどくかたくなったさま。「こちこちになったもち
緊張して心のゆとりをなくすさま。「面接官の前であがってこちこちになる」
頑固で融通のきかないさま。「趣味のないこちこちな男」
[アクセント]チコチ、はコチコチ
[類語]堅いこわ硬質堅硬生硬硬直かちかちがちがちかちんかちんハードかたさ硬化剛性ごつい厳つい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「こちこち」の意味・読み・例文・類語

こち‐こち

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 「と」を伴って用いることが多い )
    1. 堅いものをたたく音、また、堅いものどうしが軽く触れ合う音を表わす語。
      1. [初出の実例]「ふくろに入たるかづらきの峰 こちこちと山ぶしのうつ火うちいし」(出典:俳諧・破邪顕正返答(1680))
    2. 時計など、規則正しく動く機械の小さな音を表わす語。
      1. [初出の実例]「時計ばかりがコチコチと 動いて居るも情なや」(出典:軍歌・戦友(1905)〈真下飛泉〉)
    3. 水分や脂肪などが、なくなったり凍ったりして堅くなったさまを表わす語。〔名語記(1275)〕
      1. [初出の実例]「手足の指等は〈略〉冷え凍えてこちこちして居る」(出典:春六題(1921)〈寺田寅彦〉五)
    4. 固くこりかたまっているさまを表わす語。
      1. [初出の実例]「賈島が詩も険陋と云たぞ しぶってこちこちとしてあぶないことを作ぞ」(出典:玉塵抄(1563)一二)
    5. 緊張して、体や気持がかたくなるさまを表わす語。
      1. [初出の実例]「箆棒に長く呼出されてコチコチした相撲を御覧に入れ」(出典:江戸から東京へ(1922)〈矢田挿雲〉八)
    6. ( 「こちごち」とも ) 茶などの濃いさま、濃厚なさま、転じて、仲のよいさまなどを表わす語。こてこて。ごてごて。
      1. [初出の実例]「さて、只茶をこちこちとたててくれらるるほどに」(出典:四河入海(17C前)一七)
      2. 「後家と坊さまこちこちとした同士」(出典:雑俳・末摘花(1776‐1801)二)
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. [ 一 ]に同じ。
      1. [初出の実例]「こちこちになった飯粒が喰付いてゐた」(出典:不良児(1922)〈葛西善蔵〉)
    2. [ 一 ]に同じ。「こちこちになって舞台に立つ」
    3. 頑固で融通のきかないさま。
      1. [初出の実例]「非常時非常時ばかりなので、眼も耳もこちこちになってしまった折柄に」(出典:舗道雑記帖(1933)〈高田保〉ヨーヨー時代)

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