改訂新版 世界大百科事典 「コベット」の意味・わかりやすい解説
コベット
William Cobbett
生没年:1763-1835
イギリスの急進主義者。サリー州の小農場主の家に生まれ,軍隊生活の後,1792年アメリカへ行き,政治評論で活躍。1800年帰国し,02年から週刊《ポリティカル・レジスター》を発刊(死後の1836年2月まで続刊),産業革命とフランス革命・戦争の影響によって生じた社会問題を直視して,労働者・農民に向けて普通選挙などの議会改革と社会的改善を訴え,急進主義者としての名声を確立した。彼には工場制度に反発し,古きよき時代と独立小農民を懐旧する復古的傾向があった。1832年の選挙法改正後の第1回の選挙で議席をえた。《イギリス議会史,1066-1803年》36巻とその続編に当たる《議会討議録》22巻(1803-12)を編集・刊行した。後者は印刷業者ハンサードに受け継がれ今日に至っている。
執筆者:古賀 秀男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報