コベット(読み)こべっと(英語表記)William Cobbett

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コベット」の意味・わかりやすい解説

コベット
こべっと
William Cobbett
(1763―1835)

イギリスのジャーナリスト。穏健な改革論者。軍隊批判のパンフレットを書いてアメリカへ逃れ、1800年帰国して評論誌『週刊政治録』Cobbett's Weekly Political Register(1802~1835)などを発行し、大農経営も行った。1807年再渡米して、かつて批判したT・ペインの説に従うようになり、その骨を持って帰国した。1821~1832年イングランドを旅し、農民と語った記録を『週刊政治録』に連載し、『農村騎行』Rural Rides(1830)として出版。同書は、農業、土地制度、人口通貨、税、宗教議会改革、狩猟法などを論じ、産業主義を非難し農村の貧困を描いている。議会改革に努力し、1832年の選挙法改正直後下院議員。イギリスの議会史および議事録も編集した。

[白井 厚]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コベット」の意味・わかりやすい解説

コベット
Cobbett, William

[生]1763.3.9. サリー,ファーナム
[没]1835.6.18. ロンドン
イギリスの文筆家,政治家。農民の息子として生まれ,軍隊に入り,除隊後フランス,アメリカに渡り,帰国後急進派ジャーナリストに転向。農民,労働者の懐旧的感情に訴え,産業主義社会を批判した。議会改革を通じての社会改革を考え,議会議事録の発行を創始した。 1832年下院議員に当選したが,政治家としては成功しなかった。コベットの文章は明快であり,農業問題については優れた識見を述べている。農村疲弊の実情見聞録『農村騎行』 Rural Rides (1830) は名著として高く評価されている。

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