会議体の会議の内容を記録した文書のこと。日本の国会についていえば,公式には会議録といい,両議院はそれぞれその会議の記録を保存し,秘密会の記録の中で特に秘密を要するとみとめられたもの以外は,公表して,一般に頒布(はんぷ)しなければならず,また,出席議員の5分の1以上の要求があれば,各議員の表決をも,会議録に記載しなければならない(憲法57条2,3項)。衆議院および参議院の会議録は,現在,官報に掲載するというかたちで公表されている(衆議院規則206条,なお,参議院規則160条)。〈会議録〉には,本会議の〈議事〉の速記のほか,質問主意書および答弁書,選挙および記名投票の投票者の氏名,委員会の報告書および少数意見書などを記載すべきことが,国会法,衆議院規則,参議院規則によって定められている。委員会については,〈衆議院委員会会議録〉〈参議院委員会会議録〉がそれぞれ公刊されている。
会議録の公開は,今日の議会制において,選挙民の側からする議員に対する政治的コントロールを可能にし,国民意思を反映した統治を確保するためには,不可欠の前提である。アメリカ合衆国をはじめとする西側民主主義諸国で共通の課題となっている情報公開に関連して,会議体の審議そのものの公開がひとつの重要な論点となっているが,関連して,議事録の公開が問題となる。その際,立法機関だけでなく,行政機関についても,合議体の意思形成過程の公開性が問題とされていることに,注意すべきである。
執筆者:樋口 陽一
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合議体における会議の内容をすべて正確に記録した文書。衆議院および参議院の議事録は正式には会議録という。日本国憲法は、会議公開の原則に基づき、両議院に会議録の保存、公表、頒布を義務づけている(憲法57条2項)。また地方議会においても会議録の作成を行わなければならない(地方自治法123条)。私法上の合議体においても、株式会社における株主総会(会社法318条)、取締役会(会社法369条)など議事録の作成が義務づけられているものがある。議事録としてもっとも有名なものは、最初の刊行者の名から「ハンサード」Hansardとよばれているイギリス議会の議事録で、1803年以来刊行されている。
[山野一美]
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