出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ベルギー国王レオポルド2世が私有財産として創設した中部アフリカの植民地(現,コンゴ民主共和国)。19世紀後半ヨーロッパ列強に伍してアフリカ進出を企てたレオポルド2世は,スタンリーをコンゴ川流域に派遣して,現地の首長たちと計400におよぶ保護条約を結び,同地域を彼の私的組織であるコンゴ国際協会(1878創設)の支配下においた。欧米列強はベルリン会議(1884-85)でコンゴに対するこの協会の主権を認めたので,同協会はコンゴ自由国に改組されて(1885),レオポルド2世はその国王を兼ねるにいたった。しかしコンゴ商工会社などを通じての彼のコンゴ開発は,土地の没収,象牙やゴム取引の独占,強制労働など〈自由国〉の名にそぐわない過酷な政策によって進められたため,内外から激しい非難を浴び,ついに1908年レオポルド2世はコンゴ自由国の主権をベルギー政府に移管し,ベルギー領コンゴが誕生した。
執筆者:小田 英郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1885年にアフリカ分割を定めたベルリン会議によって成立した形式的な独立国家。実態はベルギー国王レオポルド2世の私有領であった。アフリカ中央部のコンゴ盆地はヨーロッパ人の接近が最も遅れた地域だったが,植民地獲得に熱意を燃やすレオポルド2世は探検家スタンリーを利用してそこでの支配を確立し,自由な経済活動の保証と引き替えに,ベルリン会議で自己の統治権を列強に承認させた。しかしベルギー本国議会が植民地経営に反対したため,形式的独立国として統治された。象牙や野生ゴムの輸出に依存する収奪的で過酷な統治が行われ,その悲惨な実態は他国からの強い批判を招いた。結局1908年にベルギーの正式な植民地となり,コンゴ自由国は消滅した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…ところでベルリン会議は,コンゴ盆地を自由貿易地域とすることを確認したうえで,コンゴ国際協会のコンゴ盆地に対する支配権を承認した。ベルリン会議が終わった直後,コンゴ国際協会は改組されてコンゴ自由国となり,レオポルド2世はその国王を兼任することが宣せられた。しかしコンゴ自由国は事実上レオポルド2世の個人財産であった。…
… 19世紀に入ると奴隷貿易が衰え,ヨーロッパ人によるアフリカ内陸部探検が盛んに行われたのに続いて,同世紀末期にはアフリカの植民地分割競争が本格化した。コンゴについては,1878年以降ベルギー国王レオポルド2世がH.スタンリーを派遣して現地の首長たちと合計約400に及ぶ保護条約を結ばせ,84‐85年のベルリン会議で欧米列強にコンゴの植民地化を承認させる(ベルリン協定)ことに成功すると,これをコンゴ自由国と称して自らその王を兼ねた。コンゴ自由国は事実上レオポルド2世の私的植民地として他に類例を見ないほどの暴政のもとに置かれ,住民の土地に対する組織的収奪,ゴム農園の開発や象牙の採集を目的とした非人道的な強制労働制度の導入などのために,レオポルド2世はイギリスをはじめとする欧米諸国からベルリン協定違反として厳しい非難を浴びせられた。…
…また80年代以降,有力な市場であったロシアが輸入禁止政策に転ずると,ベルギーの大製鉄企業は続々ロシアに子会社を設立して現地生産に乗り出し,中国でも96年,北京~漢口間の鉄道建設を請け負い借款を提供したほか,天津の市電を経営していた。他方,ベルギーは熱心に植民地獲得を試みたが,いずれも成功せず,ようやく1884‐85年のベルリン会議でコンゴ(現,コンゴ民主共和国)が,コンゴ自由国(事実上,国王レオポルド2世(在位1865‐1909)個人の領土)として認められた。しかし,植民地から収益を上げようとして現地住民を虐待したことが世界の非難を浴び,コンゴ自由国の統治権は1908年ベルギー国家に移管され,〈ベルギー領コンゴ〉が誕生した。…
…在位時代は,ベルギーの激しい政治的・社会的対立(教育問題を頂点とするカトリックと自由党の対立,社会主義勢力の進出,フラマン語問題など)の時期に当たっており,彼はその調停を企てて政党政治に介入して,非立憲君主的行動を非難された。また皇太子時代から植民地獲得に熱心で,1885年列強から,国王個人による〈コンゴ自由国〉(現,コンゴ民主共和国)の領有を認められたが,現地住民の非人道的な酷使が世界の非難を受け,1908年,これをベルギー国家に譲渡した。09年アルベール1世に譲位した。…
※「コンゴ自由国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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