コンプトンバーネット(英語表記)Ivy Compton-Burnett

改訂新版 世界大百科事典 「コンプトンバーネット」の意味・わかりやすい解説

コンプトン・バーネット
Ivy Compton-Burnett
生没年:1892-1969

イギリスの女流小説家。ロンドンに生まれ,父は有名な医師で,母は後妻姉妹心中まであった陰惨な家庭に育った。ロンドン大学で古典学を専攻処女作《ドローレス》(1911)の後14年たって出た第2作《師と主たち》(1925)で初めて注目され,《夫と妻》(1931),《息子と娘》(1937),《召使と女中》(1947)などでその地位を確立し,その後も70歳過ぎまで作品を発表し続けた。彼女の作品はすべて19世紀末から20世紀初頭までのいわゆるエドワード時代の中流上層階級の家庭生活に材を取り,圧制的な家長の支配欲,悪意が家族の間にひき起こす殺人,姦通,盗みなどの罪と悪が,特定の場所も主人公の顔形も定かならぬまま,ひたすら才気に満ちた会話で喜劇的に語られ,その底にはすさまじいほどの痛みと恐怖がひそめられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンプトンバーネット」の意味・わかりやすい解説

コンプトン・バーネット
こんぷとんばーねっと
Ivy ComptonBurnett
(1892―1969)

イギリスの女流小説家。ロンドン生まれ。処女作『ドロレス』(1911)後、1925年より全17巻に及ぶ連作小説を発表、絶賛と悪評相なかばしている観があり、今日なお確固たる地位を築いていない。作品はすべて19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリス上流階級の家庭を舞台にとり、親子兄弟姉妹が支配欲と金銭欲のとりことなって家族間におこす恐ろしい悲劇を冷酷に描いている。

富士川義之

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンプトンバーネット」の意味・わかりやすい解説

コンプトン=バーネット
Compton-Burnett, Ivy

[生]1892.6.5. ミドルセックス,ピナー
[没]1969.8.27. ロンドン
イギリスの女流作家。『牧師と教師』 Pastors and Masters (1925) 以来,『兄弟と姉妹』 Brothers and Sisters (29) ,『母と息子』 Mother and Son (55) などの小説を発表。洗練された対話の形式を用いて深刻な家庭生活の問題を取扱っている。

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