アメリカのロケット工学者。ロケットの基礎を築いた人物の一人であり,世界最初の液体(燃料)ロケットの打上げに成功した。マサチューセッツ州の生れ。クラーク大学で物理学を学び,1919年同大学教授に就任。1906年ごろから主として固体(燃料)ロケットの研究を始め,第1次世界大戦中は,第2次世界大戦でバズーカ砲として利用された管発射ロケットの研究を行った。その後液体ロケットの研究に転じ,19年それまでの研究成果をもとに《超高層に到達する方法》を出版,月ロケットの構想を発表したが,評価はあまりよくなかった。しかし26年3月16日には,マサチューセッツ州オーバーンで,わずか2秒半ながら石油と液体酸素を用いた世界最初の液体ロケットの打上げに成功,この後,30年代にはグッゲンハイム財団の援助により,ニューメキシコ州ロスウェルで数多くの打上げ実験を行い,35年には液体ロケットとしては初めて音速を超えることに成功した。彼の開発した各ロケットサブシステムは,今日でも数多く用いられており,60年代前半にNASA(ナサ)はその業績をたたえ,彼の残した200以上の特許を買い上げるとともに,その研究所の一つを彼にちなんでゴダード宇宙飛行センター(メリーランド州グリーンベルト)と命名した。
執筆者:川口 淳一郎
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アメリカのロケット工学者。マサチューセッツ州ウースター生まれ。ウースター工業学校在学中からロケットの応用の問題に取りつかれ、クラーク大学の物理学教授になってからはその研究に専心した。最初は固体推進剤を使用しての研究で、その結果は「きわめて高い高度に到達する方法」という論文にまとめられ(1919)、そこで「1キログラムぐらいのものを月に送り込める」と例示して世人の関心をひいた。
その後、液体燃料ロケットの研究実験に移り、1926年には液体燃料ロケット(推進剤は液体酸素とガソリン)の飛翔(ひしょう)実験に成功。その後、国防省も実験の補助を始め、ニュー・メキシコ州ロスウェルに発射場が設けられて実験が進んだ。またジャイロによってロケットを誘導し、軌道を修正することも試みていた。これらの研究内容は、当時のドイツのロケット開発と同じであったが、ドイツが国策であったのに対し、アメリカではゴダードの個人的なレベルでしか進められていなかった。
[新羅一郎]
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…ロシアのK.E.チオルコフスキーは,1903年に《宇宙空間へのロケット》という論文を書き,ロケットこそが宇宙飛行に有効なこと,そしてそれまでの火薬を用いたロケットではなくて液体の推進剤を用いる方法を理論的に提案した。一方,09年にアメリカでR.H.ゴダードがロケットの研究を開始し,19年に《超高層に到達する方法》という書物を出版し,みずからも液体燃料ロケットをつくって実験していた。これら2人はソ連,アメリカという宇宙開発における二大国の先駆者として,とくに高い評価をうけている。…
… 一応このように固体ロケットは10世紀にわたる歴史をもつが,一方,液体ロケットは実に19世紀もまさに終わらんとするころ,パリに留学していたペルー人ポーレP.A.Pauletが推力100kgfのロケットを実験したのがそもそもの始まりといわれる。いずれにせよ真に近代科学に裏づけされたロケット技術は,20世紀において3人の先覚者,ロシアのK.E.チオルコフスキー,アメリカのR.ゴダード,そしてドイツのH.オーベルトによって築き上げられたのである。彼らはロケット推進が本来的にもっとも宇宙飛行の手段としてふさわしいとの認識の下に,理論,実験の両面から,技術の展望を与えた。…
※「ゴダード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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