ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴダード」の意味・わかりやすい解説
ゴダード
Goddard, Paulette
[没]1990.4.23. スイス,ロンコ
アメリカ合衆国の女優。本名 Pauline Marion Goddard Levy。16歳のとき,ブロードウェーのレビューにコーラスガールとしてデビュー。その後 4年の間に結婚と離婚を経験し,映画スターを目指してハリウッドに移る。そこでチャーリー・チャップリンの目に留まり,ほどなく一緒に暮らし始める。チャップリンから演技指導を受けたのち,『モダン・タイムス』Modern Times(1936)で共演。チャップリンの名物キャラクター「リトル・トランプ(小さな浮浪者)」の道づれとなる快活な少女を演じて注目を集める。これを機に出演依頼が相次いだが,チャップリンとの婚姻関係が曖昧だったことを理由に『風と共に去りぬ』Gone with the Wind(1939)の主人公スカーレット・オハラ役を演じるチャンスを逃している。『独裁者』The Great Dictator(1940)で再びチャップリンと共演したが,1942年婚姻関係を明らかにしないまま離別。"So Proudly We Hail!"(1943)の従軍看護師役で,生涯で唯一となるアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。1958年,作家のエーリッヒ・マリア・レマルクと結婚してスイスに居を移し,その後は一市民として生涯を送った。
ゴダード
Goddard, Robert Hutchings
[没]1945.8.10. アナポリス
アメリカの物理学者,ロケット研究家。ウースター工芸学校で学んだのち,同じウースターのクラーク大学で 1911年に学位を取得し,物理学教授をつとめた。少年時代から H.G.ウェルズの空想科学小説の影響で宇宙旅行に熱烈な関心をもつようになった。ロシアの K.E.ツィオルコフスキーには遅れをとったものの,19年に『超高度に達する方法』A Method of Reaching Extreme Altitudesという有名な論文を発表。種々の液体燃料の効率に数学的検討を加えて,25年には液体酸素とガソリンを燃料とするロケットを完成し,26年マサチューセッツ州オーバーンの試験農場で世界最初の液体燃料ロケットの打上げに成功した。 1930年代はグッゲンハイム財団からの研究費でニューメキシコ州ロスウェルの試験場で,41年からはアナポリスの海軍技術研究所でロケット研究に従事していたが急死した。彼のロケット関係の特許は 200をこえているが,その先駆的な業績はその死後,高く評価されるところとなった。
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