レマルク(読み)れまるく(英語表記)Erich Maria Remarque

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レマルク」の意味・わかりやすい解説

レマルク
Remarque, Erich Maria

[生]1898.6.22. オスナブリュック
[没]1970.9.25. ロカルノ
ドイツの小説家。第1次世界大戦に従軍,復員後さまざまな職を転々としながら,1929年に小説『西部戦線異状なし』 Im Westen nichts Neuesを発表。戦争の残酷さを,俗語を駆使してリアルに表現したこの小説は,18ヵ月のうちに 25ヵ国語に翻訳され,350万部を売尽すという大ベストセラーとなった。続いて 31年,続編『帰還の道』 Der Weg zurückを刊行。 32年スイスに亡命,翌年ナチスによって市民権を剥奪され,著書は禁書となった。 39年アメリカに移住。戦争小説『3人の戦友』 Drei Kameraden (1938) ののち,亡命者の運命を扱った『汝の隣人を愛せ』 Liebe deinen Nächsten (41) ,『凱旋門』 Arc de Triomphe (46) を発表,後者は再び 200万部のベストセラーとなった。 47年にアメリカ市民権を取得。その後の作品に『生命火花』 Der Funke Leben (52) ,『愛するときと死するとき』 Zeit zu leben und Zeit zu sterben (54) ,『黒いオベリスク』 Der schwarze Obelisk (56) ,『リスボンの夜』 Die Nacht von Lissabon (63) 。遺作パラダイスの影』 Schatten im Paradies (71) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レマルク」の意味・わかりやすい解説

レマルク
れまるく
Erich Maria Remarque
(1898―1970)

ドイツの作家。ドイツ北西部オスナブリュック生まれ。当初、音楽家を志す。第一次世界大戦に志願兵として出征し負傷戦後、記帳係、通信員、教師、広告雑誌編集者など雑多な職業を転々。1929年長編小説『西部戦線異状なし』を発表、戦場における人間精神の荒廃を追求し、一躍世界的名声を馳(は)せる。ナチス政権下、同書は反軍的叙述と弾劾され焚書(ふんしょ)にあう。38年市民権を奪われ、翌年ニューヨークに移り市民権を得る。この間、注目すべき作品はなく、第二次大戦後『凱旋(がいせん)門』(1946)でふたたび文名を取り戻す。ほかに『愛する時と死する時』(1954)、『汝(なんじ)の隣人を愛せよ』(1941)、『黒いオベリスク』(1956)など。

[古賀保夫]

『山西英一訳『愛する時と死する時』(新潮文庫)』『松谷健二訳『リスボンの夜』(ハヤカワ文庫NV)』

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