ごまめ

精選版 日本国語大辞典 「ごまめ」の意味・読み・例文・類語

ごま‐め

〘名〙 植物ごまな(胡麻菜)」の異名。〔物品識名拾遺(1825)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ごまめ」の意味・わかりやすい解説

ごまめ

小型のカタクチイワシ素干しにしたもの。田作(たづくり)ともいい,女房詞では〈ことのはら〉といった。田作はほしか(干鰯)同様に田畑肥料にしたための名で,これを豊作予祝の意とし,あるいは,ごまめを健康の意の〈まめ〉と取ってめでたい食品とし,祝儀正月の膳に用いた。〈ことのはら〉は小殿原(ことのばら)で,小さな殿方たちというしゃれた隠語である。銀紺色に輝き,形のくずれていないものが良品で,油焼けして褐色になったものはえぐ味があってまずい。おもにあめ煮にするが,まず,焦がさぬようによくいったのち,酒,しょうゆ砂糖を合わせて煮つめたものの中へいれ,あめ状になった煮汁をからませる。少量のトウガラシ粉を加えてもよい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ごまめ」の意味・わかりやすい解説

ごまめ

カタクチイワシの素干し。田作りともいう。小形のカタクチイワシを水洗(すいせん)後、莚(むしろ)の上にばらまき、1日数回転がしながら干し上げる。油が少なく、体表面が銀白色に輝き、頭や尾がとれず、形が崩れていないものが良品。油焼けしたり、油のにじみ出たものは不良品である。タンパク質(66.9%)およびカルシウムリンなどのミネラルに富む。軽くあぶり、しょうゆ、みりんまたは砂糖を煮込んだ液と混ぜ、正月料理に使う。「まめ」には息災とか「たっしゃ」という意味があるところから、健康を願って正月料理にされたという。また、田作りの語は、田の肥料に使うと米が多くとれるので、豊年満作を祈って農民が正月に食べ出したとされる。

[金田尚志]

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百科事典マイペディア 「ごまめ」の意味・わかりやすい解説

ごまめ

小型のカタクチイワシの素干し。御健在(ごまめ)の意にあてて縁起物として正月料理に用いられる。おもにあめ煮にするが,だしをとるのにも利用。田作(たづくり)とも呼ばれるがこれは昔イワシが肥料とされたためなどといわれる。

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