ヤシ科の高木または低木。幹は一本で円柱状をなし,外側は枯葉の葉鞘(ようしよう)で包まれている。葉は地際より出て,幹のないもの,あるいは幹ははって直立しないものもある。葉は掌状深裂,葉身は斜扇形あるいは基部はくさび形,径1~3m。裂片は,多数,線形あるいは先端は再度2裂し,内向すり合せ状。葉柄は長さ1.5~2mで,両側に稜はあるが,とげはない。葉腋(ようえき)に生ずる肉穂花序は両性,分岐が多く,花は穂状につき雌雄同株。果実は核果で液果状,中に1個の種子を有し,やや基部に宿存する花柱がある。種子は多少扁球形,胚乳は全縁で硬い。北アメリカ(西部,南部),中央アメリカ,西インド諸島に22種を産する。耐寒性のある種が多く,温暖地で観賞用に多く植栽される。葉は屋根ふき用や編物(バスケットその他)とし,新芽は野菜となる。茎で刷毛をつくり,果実は食用にし,花は良質の蜜源となる。また大きな幹は耐水力があるので,杭材とするほか輪切りにしてテーブルをつくる。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
フランスの物理学者。メジエールに生まれる。初め医学を学び、1816年ストラスブール大学で医学の学位を得、その後物理学の研究に転じた。1827年パリ科学アカデミー会員に選ばれ、翌1828年コレージュ・ド・フランスの実験物理学教授に就任した。1820年ビオに協力して、電流の磁石に及ぼす作用に関する実験的研究を行い、有名なビオ‐サバールの法則を発見した。彼は主として振動論、音響学領域の研究に従事し、その分野では当時のフランスにおける第一級の実験物理学者として知られた。
[井上隆義]
カナダの小説家。フランス系。ケベック市に生まれるが、2歳のとき家族がシクチミに移り、青年時代まで同地で過ごす。26歳でカトリック僧籍に入り、以後開拓地で布教活動に従事するかたわら、作品を発表。小説『筏師(いかだし)ムノオ親方』(1937)、散文的エッセイ『アバチス』(1943)が知られている。他の作品に『バラショワ』(1959)、『狂女』(1960)、『墓碑』(1965)などがある。ケベック市のラバル大学で文学を講じ、フランス系カナダの民話や伝説の収集にも努めた。
[西本晃二]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ここにθは,OPとO点における電流Iとのつくる角である。1820年にフランスのJ.B.ビオとF.サバールによって与えられた。実際には電流は連続したものであるから,P点における磁場の強さは,電流素片によって生ずる磁場dHを電流の道筋に沿って素片の位置について積分して与えられる。…
※「サバール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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