サルバドル(読み)さるばどる(英語表記)Salvador

翻訳|Salvador

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サルバドル」の意味・わかりやすい解説

サルバドル
Salvador

ブラジル中部東岸,バイア州の州都。旧称サンサルバドル São Salvador,バイア Bahia。リオデジャネイロの北北東約 1200km,大西洋岸の港湾都市で,大西洋からトドスオスサントス湾を分ける小半島の南端に位置する。ブラジル最古の都市の一つで,1549年ブラジルにおけるポルトガル植民地の首都として建設され,サトウキビのプランテーション地帯を背後に控えた砂糖貿易で繁栄。 1763年植民地の首都がリオデジャネイロに移されてから経済的にもしだいに衰退していったが,20世紀に入って再び発展,1940年以降人口も急増した。バイア州の商工業中心地としてカカオ,タバコ,砂糖,皮革,トウゴマ,ダイヤモンド,硬質材,石油などを積み出し,食品加工,たばこ,繊維,金属,木材加工,皮革,造船セメント,石油化学などの工業が立地する。市街は二つの地区に分かれ,西の湾に面した低地には港湾施設,商業地区があり,背後の丘には官庁街,高級商店街,住宅街が広がり,両者は坂道,ケーブルカー,エレベータで結ばれる。植民地時代には奴隷貿易の大中心地であったため,住民には黒人やその混血が多く,その文化・習俗がみられる。また旧市街にはバロック様式の聖フランシス聖堂 (1701) や 17世紀の要塞など,植民地時代の古い建築物が多数保存されており,1985年世界遺産の文化遺産に登録。美しい海岸に恵まれていることもあって,観光業も発展。文化中心地でもあり,バイア連邦大学 (1946) ,サルバドル・カトリカ大学 (1961) をはじめとする高等教育機関や各種の博物館がある。交通要地で,内外と結ぶ水運が盛んなほか,国内主要都市と鉄道道路,空路で結ばれる。人口 205万 6013 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルバドル」の意味・わかりやすい解説

サルバドル
さるばどる
Salvador

ブラジル北東部、バイア州東部の港湾都市で、同州の州都。旧称バイア。ブラジル第三の大都市で、1763年まで首都であった。市街地はトードス・オス・サントス湾口の半島上に位置し、湾岸の低地(下町)と台地上(山手)に広がる。人口244万3107(2000)。砂糖生産の中心地で、17~18世紀にはその輸出や奴隷貿易で栄えた。その繁栄ぶりを示す70余りの教会、要塞(ようさい)など由緒ある建造物が山手に集中しており、この地区全体がブラジルの重要文化財として、史跡保存の対象になっている。港を中心とする下町は多数の銀行、商社などが集中する高層ビルのビジネス街で、それに続いて、精油、繊維、セメント、機械などの工場地区がある。下町と山手をつなぐエレベーター塔(長さ70メートル)はこの町最大の風物の一つである。町並みと海岸が美しく、ブラジル第一級の観光都市にあげられる。

[山本正三]

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