イタリアの俳優。俳優の子としてミラノに生まれる。アルフィエーリの『オレステ』などによって悲劇俳優として名をなし、1856年には『オセロ』や『ハムレット』で決定的な声価を獲得した。ほかに『リア王』、アルフィエーリの『サウル』、スクリーブ、ゴルドーニの諸作などを著名なレパートリーとし、71年以降欧米や中南米諸国に公演を続けた。登場人物への内面的な洞察に基づく自然な役づくりと十全な一体感によって、世紀的な名優として広く世界の反響をよんだ。とくにロシアにおいてはスタニスラフスキーに多大な感化を与えたことによって知られている。
[赤沢 寛]
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