日食や月食がおこる周期の一つ。日食や月食は、一つの食がおこってから一定の時間がたったときにほぼ同じ状況でおこることが多い。この時間間隔を食の周期という。食の周期にはいくつかあるが、その一つがサロス周期である。バビロニアの『サロス正典』に記載されている。サロスとはシュメール語の3600を表すことばのギリシア語訛(なま)りである。周期の日数は6585日で、18年と11日(間に5回、閏年(うるうどし)を含む場合は18年と10日)になる。これは223朔望月(さくぼうげつ)(=6585.3212日)と239近点月(=6585.5376日)と19食年(=6585.7806日)とが非常に近いためにおこる現象であるが、1サロスごとに日食の見られる地域は2.5度ずつ南に移るとともに116度だけ経度が西に移る。なお、1朔望月は月の満ち欠けの1周期、1食年は太陽が黄道と白道の交点を回る1周期である。
サロス周期を用いて次々と予測できる日食の一群をサロス群という。一つのサロス群はまず北極のほうから始まり、1サロス周期ごとに南に移って南極で終わる。1サロス群のなかには平均72回の日食を含む。1サロスの間におこる日食の数の平均は45回で、そのうち29回が皆既食または金環食となる。月食は1サロスのうちに平均26回おこり、そのうち16回が皆既食となる。
[関口直甫]
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…皆既日食が1地点から見える継続時間も7分以上にもなることがあるが,ふつうは2分から4分ほどである。同じように見える日食が18年ごとに起きることは大昔から知られ,これをサロス周期と呼んでいる。1サロス周期たつと,同じような日食でも見える場所は経度にして120゜西にずれる。…
※「サロス周期」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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