スペイン北部バスク地方,ギプスコア県の県都。人口17万8377(2001)。フランス国境に近く,避暑地として有名。フランコ時代まで国王や元首が夏の離宮(ミラマール王宮,アイェテ宮)に滞在し,外交団もこれに従って移転した。ウルメア河口,ビスケー湾に臨み,左はイゲルド山,右はウルグル山に囲まれた貝形の湾内には,ラ・コンチャ(貝)海岸,オンダレータ海岸,湾の中央にサンタ・クララ島があり,海水浴でにぎわう。中世期以来カスティリャ王国と連合し,16世紀から海上交易で繁栄した。1813年対ナポレオン戦争でイギリス・ポルトガル連合軍に砲撃され町は焼失したが,16年から再建,64年から旧城壁が撤去され近代的都市が建設された。ウルグル山麓に旧市街があり,サンタ・マリア教会(18世紀),サン・ビセンテ教会(16世紀),サン・テルモ博物館(16世紀)などがある。製材,製紙,食品加工,醸造の各工業があり,漁港,貿易港としても有名。
執筆者:渡部 哲郎
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スペイン北部、フランスとの国境に近いバスク地方ギプスコア県の県都。人口17万8377(2001)。農産物、鉱産物、金属製品の貿易港、および漁港をもつ港湾都市。食品加工、ガラス、化学、金属などの工業もあるが、むしろ海浜保養地として名高い。ビスケー(ビスカヤ)湾東部に面する小湾の両端に東はウルグル、西はイゲルドとよばれる二つの丘が北へ向かって半島状に突き出し、狭い街路の旧市街と港はウルグルの丘の南麓(なんろく)に開け、広い道路の新市街が旧市街の南に広がる。二つの丘の間の小湾沿いに連続するラ・コンチャとオンダレータの2海岸には政府高官やスペイン駐在の外交官などが避暑に訪れるため、夏季には町に外務省の出張所が置かれる。小湾の真ん中にサンタ・クララ島があり、二つの丘とともに眺望のよい場所となっている。
[田辺 裕・滝沢由美子]
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…15世紀カスティリャ王の特権を盾にブルゴスがカンタブリア貿易の独占をもくろむと,ビルバオはこれと協定を結び競合することで勢力を伸張し,1511年にはコンスラード(海事領事所)の設立を認可された。セビリャの通商院を介してアメリカ貿易に参加したビルバオに加えて,1529年カルロス1世によってカスティリャの貿易独占が一時期解除されると,サン・セバスティアンやバイヨンヌなどのビスケー湾岸の諸都市もアメリカ貿易の認可を得た。 16世紀後半から17世紀にかけてスペインは全般的に衰退し,バスク地方でも農業は不振であった。…
※「サンセバスティアン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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