サンソン図法(読み)さんそんずほう(英語表記)Sanson's projection

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンソン図法」の意味・わかりやすい解説

サンソン図法
さんそんずほう
Sanson's projection

地図投影一種。擬円筒図法の一つで、平行直線とするすべての緯線と、それに直交する直線の中央経線に沿って距離が正しく表される正距としたもので、経線正弦曲線となる正積図法である。中央経線から離れるにしたがい、高緯度では投影のひずみが著しくなる。1650年にフランスのサンソンNicholas Sanson(1600―1667)が大陸図に用い、1729年にイギリスのフラムスティードが星図にもっぱら用いてから、サンソン図法またはサンソン‐フラムスティード図法Sanson-Flamsteed projectionというようになった。経線の形状が正弦曲線となるので正弦曲線図法またはシヌソイダル図法sinusoidal projectionともいう。伊能忠敬(いのうただたか)の『大日本沿海輿地(よち)全図』の図法は、サンソン図法と同じものであると考えられている。

[金澤 敬]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンソン図法」の意味・わかりやすい解説

サンソン図法
サンソンずほう
Sanson's projection

正積擬円筒図法の一種。 1650年フランスの N.サンソン (1600~67) の考案とされるが,すでに 06年 G.メルカトルが使用しているので,サンソン=メルカトル図法ともいい,またイギリスのグリニッジ天文台初代台長の J.フラムスティードが星図に用いたことからサンソン=フラムスティード図法ともいう。なお 70年にフランスの J.カッシーニが作成した世界図に用いたといわれる。 1800年代の伊能図は,この地図投影法を用いている。緯線はすべて等間隔の平行な直線で表わされる。経線のうち中央経線は,緯線と直交する直線。緯線ごとに中央経線からの緯線の実長に等しい長さの位置を結んだ曲線は正弦曲線となり,これを地図上の経線とする。この曲線の形から,この地図投影法を正弦図法 (シンソイダル図法) sinsoidal projectionともいう。赤道と中央経線に沿う地域では地図投影のひずみがないが,中高緯度の周辺部のひずみが大きいので,低緯度地形やアフリカの地図によく用いられる。

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