大日本沿海輿地全図(読み)ダイニホンエンカイヨチゼンズ

デジタル大辞泉 「大日本沿海輿地全図」の意味・読み・例文・類語

だいにほんえんかいよちぜんず〔ダイニホンエンカイヨチゼンヅ〕【大日本沿海輿地全図】

江戸後期の日本地図伊能忠敬作。寛政12年(1800)北海道実測開始、その後幕府命令全国測量忠敬死後弟子高橋景保によって文政4年(1821)完成。明治以降の地図の基本資料となった。伊能図

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精選版 日本国語大辞典 「大日本沿海輿地全図」の意味・読み・例文・類語

だいにほんえんかいよちぜんず‥エンカイヨチゼンヅ【大日本沿海輿地全図】

  1. 日本最初の実測地図。伊能忠敬作成。寛政一二年(一八〇〇)に蝦夷南東海岸測量を開始し、途中、幕府命で全国図に着手。忠敬死後文政四年(一八二一)に門弟高橋景保の手で完成、幕府に献上された。大図・中図・小図の三種があり「伊能図」と呼ばれ、明治以後の地図作成の基礎となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大日本沿海輿地全図」の意味・わかりやすい解説

大日本沿海輿地全図
だいにほんえんかいよちぜんず

江戸時代後期、伊能忠敬(いのうただたか)が作成した日本最初の実測日本地図。「伊能図」「日本輿地全図」ともいわれる。忠敬は日本全国の測量を1800~1816年(寛政12~文化13)に行い、測量が一段落進むごとに、3万6000分の1の縮尺で製図し、これをまとめて長さ6尺、幅3尺ほどの地図(大図という)とした。大図は214枚あり、次に大図を6分の1に縮小して縮尺21万6000分の1の図(中図)8枚をつくり、これをまた2分の1にして縮尺43万2000分の1の地図(小図)3枚に仕上げた。その完成は忠敬の死後、1821年(文政4)のことであり、これが『大日本沿海輿地全図』である。この地図によって初めて日本の海岸線が正確に知られるようになり、日本の地理学上きわめて大きな貢献をした。江戸時代、この地図は幕府の独占であり、1828年のシーボルト事件で問題となった品のなかにはこの地図の写しも含まれていた。

内田 謙]


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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大日本沿海輿地全図」の解説

大日本沿海輿地全図
だいにほんえんかいよちぜんず

日本最初の実測による全国海岸線の地図。伊能図と略称。伊能忠敬(ただたか)の指揮した測量隊の測地結果を使用し,京都を子午線の零度とした梯形図法で描いたもので,1821年(文政4)伊能忠敬の孫忠晦(ただのり)らの手で大図(縮尺3万6000分の1,214枚),中図(21万6000分の1,8枚),小図(43万2000分の1,3枚)の3種に仕上げられ,「大日本沿海実測録」を添えて幕府に献上された。64年(元治元)頃,開成所で小図に琉球・小笠原諸島などを加え,別に樺太図を併せ,4枚セットで「官板実測日本地図」を刊行,パリ万博に出品した。幕府軍艦の航海用にも使用されたらしいが,広く流布せず,明治維新後の70年(明治3)大学南校で修正再刊後,新政府の国土基本図として20世紀まで重用された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大日本沿海輿地全図」の意味・わかりやすい解説

大日本沿海輿地全図
だいにほんえんかいよちぜんず

伊能忠敬と高橋景保が作成した,最初の科学的実測に基づく日本全図。伊能図ともいう。寛政 12 (1800) 年の蝦夷地測量に始り,九州,種子島,屋久島,伊豆七島まで前後 17年かけて全国を実測,その成果を文政4 (21) 年,大図 (縮尺3万 6000分の1) 214枚,中図 (縮尺 21万 6000分の1) 8枚,小図 (縮尺 43万 2000分の1) 3枚に作成,江戸幕府に提出した。この地図測量で得られた成果を現在の値と比較すると,距離の測定誤差最大 300分の1,方位最大誤差約 0.3度,緯度測定誤差1分,子午線1度の長さの誤差 0.2kmであり,当時としては驚異的な高精度のものといえる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大日本沿海輿地全図」の解説

大日本沿海輿地全図
だいにほんえんかいよちぜんず

江戸後期,伊能忠敬の作成した日本最初の実測地図
日本輿地全図・伊能図ともいう。225図。忠敬は幕命により1800年蝦夷 (えぞ) 地の測量に着手,以来全国の沿岸測量を行い,幕府天文方とともに作成。忠敬の死後3年目の'21年,高橋景保により完成された。その精密さにより,長く日本地図作成の基礎となった。

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