サントゥール(その他表記)sanṭūr[アラビア]

デジタル大辞泉 「サントゥール」の意味・読み・例文・類語

サントゥール(〈アラビア〉・〈ペルシア〉・〈トルコ〉santur)

西アジアおよびインドパキスタン打弦楽器台形をした共鳴箱の上に多数の弦を水平に張り、2本のばちで打奏する。ダルシマーと同系統の楽器。→ダルシマー

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改訂新版 世界大百科事典 「サントゥール」の意味・わかりやすい解説

サントゥール
sanṭūr[アラビア]

西アジアと中央アジアで広く用いられていたチター属の弦楽器。左右相称の台形平面をもつ高さ6cmほどの共鳴箱に多数の金属弦を水平に張り,2本の細い木桴で打奏するもの。今日ではイランイラク,および北インドのカシミール地方の古典音楽にもっぱら用いられる。イランの典型的なサントゥールを例にとると,クルミなど硬質木材で作った台形の底辺(長辺)約90cm,それと平行の短辺約36cm,高さ30cm,箱の厚さ6~7cmの響板の上に,9コースの鋼鉄線(高音)と9コースのシンチュウ線(低音)が長短両辺と平行に張られている。各コースには4本の弦がまとめられているので,その総数は72本に及ぶ。サントゥールの名はイランでは11世紀の詩人マヌーチェヘリーManuchehri Dāmghāniの作品に現れている。アラビア語ではサンティールsanṭīrとも呼ばれたが,今日アラブ諸国やトルコではほとんど姿を消した。ギリシアではサントゥーリsantoúriと呼ばれエーゲ海島々で今日も伝統音楽に用いられる。
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百科事典マイペディア 「サントゥール」の意味・わかりやすい解説

サントゥール

イランのツィター属打弦楽器。台形の薄い木製共鳴箱の上に,3〜4本1コースの金属弦を10〜18コース張り,両手の人指し指と中指で持った細長い2本の棒で打奏する。左右2列に木製の小さな可動柱を配し,音域は3オクターブ以上に及ぶ。古典音楽の独奏合奏,歌の伴奏に用いられる。ヨーロッパダルシマー,ツィンバロム,東アジアの洋琴などと同系。
→関連項目チャング

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サントゥール」の意味・わかりやすい解説

サントゥール
santur

西アジアと北インドで使われるツィター属の打弦楽器。アラビア語ではサンティール,ギリシアではサントゥーリと呼ばれる。イランでは代表的な楽器の一つに数えられるが,古典音楽で今日用いられるサントゥールは,梯形の浅い共鳴箱の上に各 4本ずつ 18~24コースの金属弦を張り,細く軽い櫂状の撥(ばち)を両手に 1本ずつ持って,トレモロの技巧を使って打ち鳴らすもの。中世ヨーロッパのダルシマーと同じ種類の楽器で,東ヨーロッパのロマが使うツィンバロンや,中国や朝鮮の洋琴とも楽器史のうえでつながりをもつ。(→イラン音楽ツィター

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サントゥール」の意味・わかりやすい解説

サントゥール
さんとぅーる
santur ペルシア語

西アジアや北西インドの古典芸術音楽で用いられるチター属の弦鳴楽器。台形の共鳴箱(長辺約1メートル、短辺約40センチメートル、奥行約30センチメートル、厚さ5~7センチメートル)の長短両辺と平行に、1コース4本で18~24コースの金属弦を張り、各コースに一つずつ可動駒(こま)を立てたもの。共鳴箱の表板には普通、透彫り付き響孔が二つある。奏者は長辺側に座り、先端が厚くなった軽い硬木製やプラスチック製の櫂(かい)状の桴(ばち)を両手に持ち、おもにトレモロ技法を用いて打奏する。共鳴胴の横には調律ピンが水平につけられており、演奏のたびに曲の旋法にあわせて調弦する。音域は3オクターブ以上のものが多い。

[山田陽一]

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