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台形箱形の共鳴体の上に張られた多数の弦を桴(ばち)で打って奏する楽器。撥(はじ)いて奏される同種の楽器プサルテリウムpsalteriumとともに,ピアノやハープシコードの先祖といえる。プサルテリウムがイスラム系のカーヌーンとのつながりを指摘されるのに対して,その発生は明らかではない。しかし,世界の最も広範囲に伝播した楽器の一つである。西南アジアでは,サントゥールなどの名称が用いられ,ヨーロッパではツィンバロムなどギリシア語の打楽器名が基になった名称が多い。〈ダルシマー〉は英語で,ドイツではハックブレット(肉屋のまな板)が用いられ,北欧も同系の語である。東アジアでは,この種の楽器がヨーロッパから移入されたことから,ヤンチン(洋琴)に類した名称が用いられている。
アパラチアン・ダルシマーと呼ばれるアメリカの民俗楽器は,スウェーデンの小型の琴に似た撥弦楽器が18世紀末から北アメリカに移入されたものである。
執筆者:郡司 すみ
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チター属打弦楽器の英語圏における呼称。ピアノやチェンバロの前身とも考えられる。同型楽器はヨーロッパ、西南アジア、中央アジア、東アジアなど広範囲に分布する(イランのサントゥール、中国の洋琴(ようきん)など)。基本構造は、台形の木製共鳴箱(底辺1メートル、厚さ5~7センチメートル程度のものが多い)の響板上に、土手状もしくはチェス駒(こま)形の木製ブリッジを置き、それと直交するように一コース2~6本で、12~25コースの金属弦を張ったものである。もっとも多くみられる弦分割の比率は2対3で、これにより五度音程が得られる。奏者は台や膝(ひざ)の上に楽器を置き、両手に木製やプラスチック製の細長い桴(ばち)を持って、おもにトレモロ奏法で打奏する。
[山田陽一]
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