サンドラール(読み)さんどらーる(英語表記)Blaise Cendrars

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンドラール」の意味・わかりやすい解説

サンドラール
さんどらーる
Blaise Cendrars
(1887―1961)

スイス出身のフランスの詩人、小説家。本名フレデリック・ソゼールFrédéric Sauser。15歳で故郷を出てロシアへ行き、その後シベリア、中国、モンゴルペルシアを回り、多くの職業を転々として帰国。1912年、渡米して先駆的近代詩『ニューヨークの復活祭』を書く。第一次世界大戦に際しスイス国籍の彼は外人部隊に入隊して従軍、負傷して右腕を失う。戦後、片手で叩(たた)きつけるような律動の詩集『弾性詩19編』(1919)などで、句読点の廃止や同時話法の使用など前衛的な手法を樹立した。小説『切られた手』(1946)、『天の区分』(1949)はこの冒険詩人の回想を芯(しん)に据えたなかば神話的な自伝であり、『コダック』(1924)、『ハリウッド』(1936)は時代精神の記録写真ともいうべきルポルタージュであり、『黄金』(1925)、『モラバジーン』(1926)、『世界の果てにつれていって』(1956)は強烈な破壊力をもつ物語である。1961年パリ市文学大賞を受けた。

[曽根元吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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