サーモスタット(読み)さーもすたっと(英語表記)thermostat

翻訳|thermostat

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サーモスタット」の意味・わかりやすい解説

サーモスタット
さーもすたっと
thermostat

一定温度を保つための自動温度調節装置、またはそれを用いた恒温槽(そう)。温度変化を金属(バイメタルなど)や液体トルエン水銀など)の膨張またはサーミスターの電気抵抗変化によって検出し、それに応じて熱源となるヒーターを断続して温度調節をする。

 電気あんか、電気こたつなど恒温槽、保温装置に用いられる簡単なものはバイメタルを使用する。バイメタルは線膨張係数の異なる2枚の合金板を張り合わせたもので、温度の変化に応じて湾曲する程度が変化することを利用してヒーターの接点を断続する。温度は接点位置を変化させて決める。

 0.01℃範囲で温度を一定に保つ恒温槽には水銀とトルエンを用いる。これは、トルエンの膨張により水銀接点を移動させることにより、タンク内のヒーターを断続する。水タンクの場合は100℃までであるが、パラフィンを用いたものは200℃まで調節が可能である。

[岩田倫典]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サーモスタット」の意味・わかりやすい解説

サーモスタット
thermostat

工業生産,実験などの操作を一定温度のもとで行うため,また住宅の室温を快適にするため,特定の個所,容器の温度を長時間,一定に保つようにする装置。またこれを備えた容器 (恒温槽) 。気体 (トルエン) ,液体 (水銀) などの熱膨張を利用,またはバイメタルサーミスタを用い,温度が変ると継電器でクーラーまたはヒータを作動させる。恒温槽は低温用と高温用があり,前者は中間を真空断熱にした二重ガラス容器 (ジュワーフラスコ,魔法瓶) が多く,場合により必ずしも調節器を用いず,氷,寒剤,液体空気などの一定融点または沸点を利用する。高温用は周囲をガラス綿,石綿などで断熱した容器で,定温浴として空気,水,塩類溶液,グリセリン,パラフィンなどを用い,攪拌器で温度を均一にする。特に高温では溶融塩などを用いる熱浴とする。いずれも物理・化学の実験や金属材料の熱処理に使われる。熱帯魚用の水槽に使われるのも一種の簡易サーモスタット。英語の thermostatは thermo (熱) と stat (ギリシア語源,停立の意) の合成語。

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