翻訳|thermostat
温度を一定範囲内に保つため動作するスイッチを含む自動温度調節機構。もっとも簡単なものは,バイメタルを用いたスイッチとヒーターとを組み合わせたもので(図1),温度が低いときにはバイメタルスイッチは閉じており,高温になるとバイメタルが反ってスイッチが開き,通電されなくなる。感温機構や発吸熱装置の種類,数,配置などにより,目的に応じた多くの種類がある。感温スイッチとしてはバイメタルのほかに気体の膨張を用いたダイヤフラム式や半導体の特性を利用したサーミスターなどもある。サーミスターを用いたものには単なるスイッチ作用ではなく,連続的な調整作用をもつものもあり,これを用いたものも広義のサーモスタットに含まれる。家庭用では電気アイロン,こたつ,ルームクーラー,調理用加熱装置などの電気器具のほか,ガスオーブン,石油ヒーターにも用いられる。工業用としては各種の炉,反応槽,恒温槽などに広く用いられている。恒温槽のことをサーモスタットということもある(図2)。
執筆者:曾根 悟
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
一定温度を保つための自動温度調節装置、またはそれを用いた恒温槽(そう)。温度変化を金属(バイメタルなど)や液体(トルエンと水銀など)の膨張またはサーミスターの電気抵抗変化によって検出し、それに応じて熱源となるヒーターを断続して温度調節をする。
電気あんか、電気こたつなど恒温槽、保温装置に用いられる簡単なものはバイメタルを使用する。バイメタルは線膨張係数の異なる2枚の合金板を張り合わせたもので、温度の変化に応じて湾曲する程度が変化することを利用してヒーターの接点を断続する。温度は接点位置を変化させて決める。
0.01℃範囲で温度を一定に保つ恒温槽には水銀とトルエンを用いる。これは、トルエンの膨張により水銀接点を移動させることにより、タンク内のヒーターを断続する。水タンクの場合は100℃までであるが、パラフィンを用いたものは200℃まで調節が可能である。
[岩田倫典]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
一定温度を持続させるための自動温度制御装置の総称.熱の受感部として,液体の膨張(アルコール,トルエン,水銀など),バイメタル,サーミスター,熱電対,電気抵抗線などを用いて温度を検出し,直接または補助装置により,熱源を制御して一定温度を得る構造になっている.恒温槽,暖房器,恒温室,電気がまなどに用いる.恒温槽をサーモスタットとよぶこともある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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