ざんす

精選版 日本国語大辞典 「ざんす」の意味・読み・例文・類語

ざん・す

〘自サ特活〙 (活用助動詞「ざんす」に同じ) 近世後期江戸遊里語現代でも女性語として一部で使用。
[一] 「ある」の意の丁寧語。ございます。あります。人の存在にも使用。
洒落本・契情買言告鳥(1800)上「ちょっとはなしがざんすから、どふぞきておくんなんし。〈略〉おめへさんにほれきってるものがざんす」
[二] 補助動詞として用いられる。断定の助動詞「だ」の連用形「で」、形容詞の連用形(音便形)に付く。補助動詞「ある」の丁寧語。…でございます。…であります。
※洒落本・曾我糠袋(1788)「その病気あやしふざんす。〈略〉ぜんてへ時さんはぬしもしってのとをり、訳けのあるきゃく人でざんすから」

ざんす

〘助動〙 (活用は「ざんせ・ざんし・ざんす・ざんす・ざんすれ・◯」。体言やそれに準ずる語などに付く) 「である」の意の丁寧語。でございます。です。
※洒落本・通言総籬(1787)一「此ごろのはやりは扇屋のきかふさん。丁字やがはてな。ぶしやれまいそ。おたのしみざんす」
[語誌]「ござんす」の転「おざんす」の変化した語か。はじめ吉原丁子屋の使用語であったものが、遊里語へと拡大したという。「洒・傾城觿‐付録」に「丁字屋言〔ざんす〕よふざんすわるふざんすなぞいふ所に用〈略〉〔何ざんすか〕なんでごさんすかといふ事也てのじとごのじをりゃくしていふ」とある。現代では、上流・有閑女性などの上品ぶった表現として用いられる。

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デジタル大辞泉 「ざんす」の意味・読み・例文・類語

ざんす[助動]

[助動][ざんせ|ざんし|ざんす|ざんす|ざんすれ|○]体言および体言に準ずる語に付く。「だ」「である」の意の丁寧語。…でございます。…です。
「(牛肉ヲ)なまでたべるのざんすから」〈魯文安愚楽鍋
[補説]洒落本「傾城觽けいせいけい」松丁玉扇四家言語解・丁子屋言に「何ざんすか。なんでござんすかといふ事也。での字とごの字を略していふ」とあるように、江戸吉原の丁子屋から広まったという。現代でも、上品ぶった女性の表現に用いられることがある。

ざん・す[動]

[動サ特活]《近世後期、江戸の遊里語》
ある」の意の丁寧語。ございます。あります。
「ちょっと話が―・すから、どうぞ来ておくんなんし」〈洒・契情買言告鳥〉
(補助動詞)補助動詞「ある」の意の丁寧語。…でございます。
「わけのある客人で―・すから」〈洒・曽我糠袋〉
[補説]活用は助動詞「ざんす」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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