シェンヤン特別市(読み)シェンヤン(英語表記)Xianyang

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シェンヤン特別市」の意味・わかりやすい解説

シェンヤン(瀋陽)〔特別市〕
シェンヤン
Shenyang

中国東北地方,リヤオニン (遼寧) 省中部,リヤオ (遼) 河平原の東部にある市。リヤオニン省の省都。シャンハイ (上海) ,ペキン (北京) ,テンチン (天津) に次ぐ中国第4の重工業都市。省轄市で 11の市区から成る。市区はフン (渾) 河の北岸にあって,ホワペイ (華北) 平原,リヤオトン (遼東) 半島,朝鮮半島への交通の要衝にあたるため,古くから漢族,モンゴル族,満州族争奪の地となった。 1625年清朝の首都となり,ペキンに遷都ののちは陪都となって奉天府がおかれた。日露戦争後,日本による東北地方経営の中心地となり,1932年「満州国」の成立によって首都がチャンチュン (長春) におかれてのちも商工業の中心としてにぎわった。付近には中国最大の鉄鉱石,石炭鉱脈が分布し,アンシャン (鞍山) ,フーシュン (撫順) ,ペンシー (本渓) ,フーシン (阜新) などの鉱工業都市が立地する。このため人民共和国成立後,製鋼,工作機械,自動車,化学などの重工業が急速に発達し,石油化学コンビナート,シェンヤン第一工作機械工場,シェンヤン重型機器工場など中国有数の大工場が建設された。チンハー (京哈) 鉄道の要衝で,省の各鉱工業都市やターリエン (大連) 港に鉄道が四通している。 90年にはアジア最大規模といわれるシェンヤン駅やターリエンを結ぶ高速道路が完成した。国際空港もある。清朝の故地として史跡が多く,宮殿は故宮博物館となって,大量の美術工芸品が展示されている。郊外には太宗の墓である北陵 (昭陵) ,太祖ヌルハチの墓である東陵 (福陵) があり,ともに市民の行楽の地となっている。シンミン (新民) 区,リヤオチョン (遼中) 区はともにリヤオ河の沖積地にあって,省有数の農業地域をなす。コムギダイズ,ワタを主作物とするが,水稲作付けがふえている。人口 582万 7089 (1990) 。

シエンヤン(咸陽)〔特別市〕
シエンヤン
Xianyang

中国西北地方,シェンシー (陝西) 省中部,ウェイ (渭) 河平原 (関中盆地) の中央部にある特別市。3市区と 11県から成る。市域は北部はホワントー (黄土) 高原が占め,南はチンリン (秦嶺) 山脈に達する。シエンヤン市はウェイ河北岸にあり,周辺はウェイホイ (渭恵) 渠などの灌漑水利施設がよく整い,省の穀倉地帯の一部である。秦代には国都であったが,秦の滅亡に際し焼かれて,南東方のシーアン (西安) に繁栄を譲った。シーアン市とともに綿紡織染色コンビナート地域を形成し,ほかに毛紡織,搾油,製粉,紡織機械などの工業が立地する。ロンハイ (隴海) 鉄道が通り,北のトンチョワン (銅川) 市とハンチョン (韓城) 市に支線が通じている。付近には古代の帝王の陵墓や史跡が多い。人口 433万 416,うち市区人口 73万 6868 (1990) 。

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