日本大百科全書(ニッポニカ) 「シメチジン」の意味・わかりやすい解説
シメチジン
しめちじん
cimetidine
1975年に開発された消化性潰瘍(かいよう)治療剤で、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療に用いられる。胃液の分泌を促進するヒスタミンのH2受容体に特異的に拮抗(きっこう)して、胃液の分泌を抑制する。ペプシンの分泌抑制作用もみられる。上部消化管出血にも有効で、消化性潰瘍治療剤のイメージを一変させた。世界各国でもっとも多く用いられている医薬品の一つで、ヒスタミンH2受容体抑制剤の最初の市販品であり、以後この方面の開発が活発となった。内服用の錠剤(200ミリグラム含有)、細粒剤(20%含有)、注射液(2ミリリットル中200ミリグラム含有)がある。ワルファリン、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、プロプラノロール、テオフィリン、フェニトインとの併用では、これらの薬物の代謝、排泄(はいせつ)を抑制し、血中濃度を高めることが報告されている。
[幸保文治]