日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュライアー」の意味・わかりやすい解説
シュライアー
しゅらいあー
Peter Schreier
(1935―2019)
ドイツのテノール歌手。マイセン生まれ。ドレスデン聖十字架教会聖歌隊で指揮者マウエルスベルガーRudolf Mauersberger(1889―1971)の指導を受け、変声期以後は副指揮者を務めた。声楽の研鑽(けんさん)を重ね、1959年ベートーベンの『フィデリオ』の囚人役でオペラに初登場、1961年からはモーツァルト作品を中心にオペラで本格的に活躍。1963年ベルリン国立歌劇場、1966年にはウィーン国立歌劇場に出演、また1967年にザルツブルク音楽祭とメトロポリタン歌劇場のモーツァルト『魔笛』に出演して、西側でも一躍有名になった。以後世界各地で活躍、リリック・テノールの美声と端正で知的な表現、豊かな音楽性により、とくにモーツァルトの作品で高い評価を獲得した。また歌曲や宗教音楽にも優れた解釈を示し、1970年代以降は宗教音楽などの指揮者としても活躍した。1974年(昭和49)初来日。2000年にオペラの舞台からは離れたが、その後数年間はコンサート歌手、指揮者としての活動を続けた。
[美山良夫]