ドイツ南西部の山地。南はスイス国境から北はカールスルーエ南方まで,南北にのび,長さ約160km,幅は南部で60km,北部で35km。高原状の山地で南に高く,北に低い。最高峰はフェルトベルクFeldberg(1493m)。西側はライン地溝帯のオーバーライン平野に急傾斜で臨み,東は緩やかに傾斜してネッカー川に達し,シュウェービッシェ・アルプに続いている。キンツィヒKinzig川以南はおもに片麻岩,花コウ岩よりなり,高所には氷食のあとがみられる。一方,キンツィヒ川以北は基盤をおおう中生代の赤色砂岩層がよく保存されている。ドイツトウヒなどのうっそうとした森林の部分が多く,遠くから見ると全山黒い森に見えるところから〈黒いschwarz森Wald〉と名づけられた。広く牧畜が行われ,オーバーライン平野に臨む山麓にはブドウ園が多い。豊富な森林を利用した製材業のほか,山間では木工業,時計工業,精密機械工業などが盛ん。また,美しい風光に恵まれるとともに,バーデン・バーデン,バーデン・ワイラーなど温泉場が各地にあり,観光地・保養地としてにぎわっている。
執筆者:武田 むつみ
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… オークやブナ,カンバなど広葉樹の森は古くは〈白い森〉と呼ばれていた。それに対して〈黒い森〉とは針葉樹の森をさしていたが,今日〈シュワルツワルトSchwarzwald(黒い森)〉といえば,ドナウ川の源流をなす,南西ドイツの山林地帯の名称となっている。その代表的樹種が針葉樹のモミとドイツトウヒであり,しかも北ヨーロッパの国々のドイツトウヒの森が緯度と日照の関係から〈針のように〉細長く生長するのに対し,うっそうと茂り巨木をなすからだともいう。…
…山火事跡の二次林が多く樹種も多いが,熱帯地域をはじめ各地の人工造林に用いられている。(5)シュワルツワルトの森林 ドイツの南西部,ライン川に沿った南北150km,東西30~60km,標高80~1500mにわたる山地の森林である。トウヒ,モミ,ブナ,マツによって構成され,トウヒが約50%を占める。…
…より大局的には,西はアルデンヌ高原から東はポーランド中山山地に連続する中部ヨーロッパ中山山地の一部をなしている。中山山地とは,高度の点において最高1500m前後(たとえば最高はシュワルツワルトでは1493m,ボヘミア(ベーメン)の森では1456m,エルツ山地では1244m,ハルツ山地では1142m,ただしチェコスロバキア・ポーランド国境のリーゼン山地では1608m)であること,あるいは景観においても高山とは趣を異にするということの両方を意味している。地形,地質の点から,ドイツ中山山地は,(1)結晶岩類または古生層より成る地塊(ハルツ山地,ライン片岩山地,オーデンワルト,ボヘミアの森,シュワルツワルト,チューリンゲンの森,エルツ山地など)と,(2)これらの間の主として中生代・三畳紀,ジュラ紀の地層から成るケスタ台地状地域,の二つに大別され,上記の細分の根拠となっている。…
… オークやブナ,カンバなど広葉樹の森は古くは〈白い森〉と呼ばれていた。それに対して〈黒い森〉とは針葉樹の森をさしていたが,今日〈シュワルツワルトSchwarzwald(黒い森)〉といえば,ドナウ川の源流をなす,南西ドイツの山林地帯の名称となっている。その代表的樹種が針葉樹のモミとドイツトウヒであり,しかも北ヨーロッパの国々のドイツトウヒの森が緯度と日照の関係から〈針のように〉細長く生長するのに対し,うっそうと茂り巨木をなすからだともいう。…
※「シュワルツワルト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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