雌雄モザイク(読み)シユウモザイク(英語表記)gynandromorph

デジタル大辞泉 「雌雄モザイク」の意味・読み・例文・類語

しゆう‐モザイク【雌雄モザイク】

雌雄異体動物で、同一個体の中に雌性部位雄性の部位が明らかな境界をもって混在していること。雌雄嵌合体かんごうたい。性的モザイク

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精選版 日本国語大辞典 「雌雄モザイク」の意味・読み・例文・類語

しゆう‐モザイク【雌雄モザイク】

  1. 〘 名詞 〙 ( モザイクは[英語] mosaic ) 同一の動物個体に雌の形質をもつ部分と雄の形質をもつ部分とが境界をもって混在するもの。ミツバチカイコショウジョウバエなどの多く昆虫や、ウソキジなどの鳥にみられる。性的モザイク。雌雄篏合体(かんごうたい)

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改訂新版 世界大百科事典 「雌雄モザイク」の意味・わかりやすい解説

雌雄モザイク (しゆうモザイク)
gynandromorph

性的モザイクともいう。動物で一つの個体の中に,雄の遺伝子構成をもった部分と,雌の遺伝子構成をもった部分とがモザイクとなって混在すること。よく似た現象に,間性および雌雄同体があるが,この二つは1個体内に遺伝子構成の異なる部分が混在することに起因するものではない点で区別される。無脊椎動物では節足動物の昆虫類(ショウジョウバエ,カイコ,ミツバチ),甲殻類およびクモ類,棘皮(きよくひ)動物のウニ類などで,脊椎動物では鳥類ニワトリ,キジ,ウソ)などの性的二型の顕著な動物でみられる。鳥類では体の片側の羽が雄型,他側が雌型のような表れ方をする。これは卵割の途中で,一部の割球の性染色体が欠損したり,常染色体に異常が生じて発育速度に差ができ,血中の性ホルモンに対する感受性に,部分的な違いが生じたためと考えられている。昆虫では,二重受精や染色体の異常などで,発生の途中で性染色体の分配が正常に行われず,雄となるべき性染色体をもつ細胞と,雌となるべき細胞とが,同一個体内に生ずるために起こる。雌雄の部分の分布状態から,成因や発生途中の割球の動きを推測できる。ショウジョウバエでは雌雄モザイクを利用して行動遺伝学的研究が行われている。
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百科事典マイペディア 「雌雄モザイク」の意味・わかりやすい解説

雌雄モザイク【しゆうモザイク】

性的モザイクとも。動物で一つの個体の中に,雄の遺伝子をもつ部分(細胞・組織・器官)と雌の遺伝子をもつ部分が混在すること。昆虫類,甲殻類,クモ,ウニ,脊椎動物ではキジ類などで見られ,体の半分が雄で,半分が雌といった表れ方をする。発生の途中で,染色体の分配が不均等な核分裂,あるいは体細胞突然変異などが起こると生じると考えられている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雌雄モザイク」の意味・わかりやすい解説

雌雄モザイク
しゆうモザイク
gynandromorphism

雌雄異体動物において雌性部分と雄性部分をあわせもつ個体およびその現象をいう。昆虫類,鳥類などに広くみられ,体の左右あるいは一部分が雌雄型に分れる。卵割中に核の染色体分配が異常になったり,性染色体に欠失が起ったときなどに生じると考えられる。

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世界大百科事典(旧版)内の雌雄モザイクの言及

【間性】より

…本来は雌雄異体もしくは雌雄異株の生物個体において何らかの原因によって,雌形質と雄形質が混在する現象。間性は体を構成するすべての細胞の遺伝子組成が一様である点で雌雄モザイクとは異なる。雌形質の強いものを雌間性,雄形質の強いものを雄間性というが,両形質が混在する程度はいろいろである。…

※「雌雄モザイク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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