永久ひずみ
えいきゅうひずみ
permanent strain
物質に弾性限界以上の力を加えると、力を取り去ったあともその材料の形は元に戻らなくなる。この残留ひずみを永久ひずみという。物質に力を加えた場合に生じるひずみは、〔1〕瞬間的に生じ、可逆性のある弾性ひずみと、〔2〕それ以外の非弾性ひずみに分類される。後者には、(a)時間依存型で可逆性のある擬弾性ひずみと、(b)不可逆的な塑性ひずみとが含まれている。永久ひずみは厳密にいえば(b)に対応するものであるが、(a)の成分は通常ごくわずかであるので、(a)(b)を含めた〔2〕の非弾性ひずみ全体を永久ひずみと称することもある。なお、高温では、短時間試験で認められる弾性限界以下の応力であっても、長時間力を加えておくと材料は塑性変形をおこし(クリープ現象)、永久ひずみを生じる。
[及川 洪]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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永久ひずみ
えいきゅうひずみ
permanent set
金属材料や高分子材料などの物体に,大きな外力 (荷重) を加えると,物体には外力に相当する変形 (ひずみ) が生じ外力を除去すると変形の一部は弾性的に回復するが,他は戻らずにそのまま残る。このように,無負荷にしたときに残留する変形を永久変形または塑性変形といい,それに相当するひずみを永久ひずみまたは残留ひずみと呼ぶ。金属材料では特定の結晶面に沿ったすべりが,また高分子材料では分子鎖の大きな配置換えによって起る。 (→加工硬化 )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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永久ひずみ
エイキュウヒズミ
permanent stress
ひずみ点より高温域でガラス中に生じた温度勾配が常温で消失する際に,場所的な収縮量の差によって生じたひずみ.徐冷によらなければ除かれないので,この名がある.ひずみが大きければガラスは破壊し,またガラスの遅れ破壊の原因となる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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永久ひずみ
物体に応力を加えたとき,応力を除いた後も,復元しないで残る形態の変化(ひずみ).
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の永久ひずみの言及
【永久変形】より
…しかし,応力がその物質の弾性限度以上に大きくなると,力を取り除いても変形が残ってしまう。これを永久変形といい,このときのひずみを永久ひずみと呼ぶ。[塑性][弾性][ひずみ]【二宮 敏行】。…
【弾性】より
… 応力の大きさが弾性限度をこえると,応力が0になってもひずみが残る。このひずみを永久ひずみ,または残留ひずみという。また金属などでは弾性限度をこえて応力を加えた場合,応力が一定に保たれていても変形が連続的に進むようになる。…
【ひずみ(歪)】より
…図4は,応力とひずみが比例する限度A′(比例限度という)を超えて応力を加え,材料をA点まで変形させた場合で,応力を除去しても,ひずみはabだけは回復するが,非回復の残留成分Obが現れる。力を取り除いた後も残るこのひずみを永久ひずみ,または残留ひずみという。また回復成分は,弾性成分acと非弾性成分bcに分けられる。…
※「永久ひずみ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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