日本大百科全書(ニッポニカ) 「シル」の意味・わかりやすい解説
シル
しる
sill
板状の火成岩体で、その周囲にある地層の層理面や変成岩の面構造に平行に貫入しているもの。一般的にほぼ水平かやや傾斜した岩体のものが多い。岩床sheet(シート)と同義に用いられることがあるが、岩床のほうが広い意味で使われる。スコットランドのエジンバラにあるドレライト(粗粒玄武岩)からなるシルは、化石を産出する堆積(たいせき)岩に挟まれて層理面と平行に入っていることから、18世紀後半に堆積岩か火成岩かで大論争が繰り広げられたことで有名である。この論争では、シルと接する堆積岩に火に焼かれたような痕跡(こんせき)があったり、一部の境界に沿って堆積岩の層理面がめくれ上がったように見えるところが見つかり、貫入岩体であることが示された。
[村田明広]