ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
鯨油
げいゆ
whale oil
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翻訳|whale oil
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ナガスクジラ、シロナガスクジラなどのヒゲクジラ類の脂肉から採取するグリセリドを主成分とする油(ナガス鯨油(げいゆ))。シロナガスクジラは世界最大の獣であって、1頭から得られる鯨油は15トンを超える。また、マッコウクジラ、ツチクジラなどのハクジラ類から得られるマッコウ鯨油は、主成分がろうであり、通常、鯨油というときは前者をいう。北極海では鯨類の乱獲がたたり、捕鯨ができかねる程度に減少している。南極海における捕鯨では、鯨類の繁殖を主目的として国際的に捕鯨量を制限している。そのために鯨油の生産量は減少した。
[福住一雄]
捕鯨船が海岸基地に着いたとき、クジラの脂肪組織は、クジラから切り分けられる。採油は、南極海捕鯨船隊の大きな船上で溶出法により行われている。クジラの脂肪組織は波形の金属ローラーにより細断され、予熱器に送られ、水平溶出器に移される。ここに水蒸気を送り、回転する有孔円筒中で連続的に攪拌(かくはん)しながら、クジラ脂肪組織を加圧蒸煮する。クジラの骨油は、骨を破砕器で砕いてから、鯨油と同様にして採取される。クジラの肝油は、アルカリ浸漬(しんし)および溶剤抽出法でとられる。このようにして得られる鯨油の性状は良好で、酸価は1~2程度である。
ナガス鯨油、イワシ鯨油のけん化価は190程度、ヨウ素価はそれぞれ130、140程度。炭素数20、22の高度不飽和脂肪酸をも含んでいる。クジラの原油、精製油、硬化油は、せっけん、食用脂、皮革、塗料、印刷インキおよび潤滑油に用いられる。
[福住一雄]
有史以前からクジラが海岸に接近する地方では、これを多勢で捕らえて食用や灯用に供した。鯨油が盛んに利用されるようになったのは、捕鯨業が成立するようになってからで、ヨーロッパでは10世紀にフランスのバスク地方において、日本では17世紀の初めに紀州で勃興(ぼっこう)した古代捕鯨時代からである。
日本では、1732年(享保17)の大飢饉(ききん)後、稲作の害虫駆除に利用されだして各地に広がっていった。これは水田に鯨油を注いでその上に害虫を落として駆除したもので、明治に入り石油その他の化学薬品が使用されるに及んでしだいに減少していった。
[大村秀雄]
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
クジラの脂肉や骨などから煮取法または煎取法によって得られる.主成分はゾーマリン酸,オレイン酸,鯨油酸,イワシ酸,パルミチン酸などのグリセリド.硬化油,せっけん,マーガリンなどの製造,灯用,製革用油などの広範囲で用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…第2次世界大戦後には,2,4‐Dをはじめとする各種の除草剤が導入され,除草作業は一気に化学的除草へと変身してきている。 また害虫の防除についてみると,明治時代にはウンカ類に対する注油法(田面に鯨油や灯油をまき,虫をそこに払い落として殺す)など限られた方法のほかは有効な手だてはなかった。大正時代にはニカメイガの誘蛾灯による誘殺のほかは,卵や幼虫の捕殺が行われているに過ぎない。…
※「鯨油」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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