ポリ塩化ビフェニール(PCB) 有機塩素化合物の一種。熱に強く、水に溶けにくい性質から、変圧器やコンデンサーの絶縁油、船の塗料に使われた。毒性が強く、環境中で分解が難しいため、ストックホルム条約で製造や使用の禁止、排出削減に取り組む方針を決定。2028年までに世界で処理を終えることを目指している。それまでは無害化の作業や厳重管理が必要だが、紛失や漏出も起きている。摂取すると、肝機能障害や免疫機能の低下などを引き起こす恐れがある。
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ポリ塩化ビフェニルpolychlorinated biphenylの略。2個のベンゼンがつながったビフェニルに塩素がついたもので,塩素のつく位置と数で多くの異性体がある。日本では1954年から生産され,カネクロール(鐘淵化学),アロクロール(三菱モンサント)の商品名で市販された。安定性,不燃性,電気絶縁性に優れ,コンデンサー,変圧器の絶縁油,熱媒体,潤滑油,可塑剤,印刷インキ,塗料,感圧紙などに広く用いられた。68年に発生したカネミ油症事件は,加熱用熱媒体に用いたPCBの混入した米ぬか油を食べたために起こったものである。
製造工程や使用過程,または廃棄処理によって排出されたPCBは容易に分解しないため,水質,底質,土壌などに蓄積して動植物に吸収される。食物連鎖によって生物学的に濃縮され,鳥類,魚介類,食品類(米穀類,牛乳,バター,肉類,鶏卵など)に汚染が広がった。汚染食品の摂取によって人体の脂肪中に蓄積し,母乳の汚染は大きな社会的問題となって,72年,生産ならびに使用が禁止された。胎盤通過性があるため,カネミ油症患者では胎児性油症児が生まれた(油症)。
執筆者:中島 泰知
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…安定性,不燃性,電気絶縁性に優れ,コンデンサー,変圧器の絶縁油,熱媒体,潤滑油,可塑剤,印刷インキ,塗料,感圧紙などに広く用いられた。68年に発生したカネミ油症事件は,加熱用熱媒体に用いたPCBの混入した米ぬか油を食べたために起こったものである。 製造工程や使用過程,または廃棄処理によって排出されたPCBは容易に分解しないため,水質,底質,土壌などに蓄積して動植物に吸収される。…
…また鉱・工業からの廃液中の銅が沿岸のカキを汚染し,緑色の有毒カキが生産されたことも有名な事件である。(3)DDT,PCBの汚染 農業の生産性を高めるために,どこの国でも,多量の化学肥料や農薬を用いている。そのために生産性は確かに上がったが,一方では散布された農薬や余分の肥料は,大気中を浮遊し,地表に落下したものは河川を通じ,最終的には海洋に流れ込み,海洋の農薬汚染をもたらした。…
…PCBが原因となって起こった食品公害病。1968年10月,福岡県に痤瘡(ざそう)様皮疹を主訴とした〈奇病〉が多発した。…
※「PCB」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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