日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジェミエ」の意味・わかりやすい解説
ジェミエ
じぇみえ
Firmin Gémier
(1869―1933)
フランスの俳優、演出家。アントアーヌ、リュネ・ポーと並ぶ、第一次世界大戦前のフランス近代劇史における三巨頭の一人。オーベルビリエに生まれ、早くから俳優を志す。1887年アントアーヌに紹介され自由劇場で端役をつとめるが、92年から正式に参加、96年に制作座でジャリの『ユビュ王』を演じ、名声を得た。ロマン・ロランに影響された彼は、演劇に社会的な広がり、民衆の祭典を夢みて、移動劇場を実現し、演出上の刷新も図った。1920~33年はTNP(テーエヌペー)(国立民衆劇場)の初代監督、同時に21~30年はオデオン座の芸術監督を務め、世界演劇協会を設立するなど、広い視野で演劇活動を展開した。
[加藤新吉]