ジャックと豆の木(読み)ジャックとまめのき

改訂新版 世界大百科事典 「ジャックと豆の木」の意味・わかりやすい解説

ジャックと豆の木 (ジャックとまめのき)

イギリス昔話。貧乏な母親と住むジャック少年は牝牛を市へ売りに行く途中,不思議な老人の言うなりに牛と魔法の豆をとりかえる。怒った母親が窓の外へ放り投げた豆は翌朝天までとどく豆の木に生長。ジャックは木をつたって天へ登り人食い鬼の家に着く。3回の天訪問のつどジャックは,金貨の袋,金の卵を産む鶏,金の竪琴を盗み出す。3回目に竪琴が主を呼んだおかげでジャックは鬼に追われる。先に地上に降り立ったジャックは母親の斧で木を切り倒し,鬼は落ちて死ぬ。ジャックはお姫さまと結婚し3人は幸せに暮らした(J. ジェーコブズ版,1890)。北欧東欧,中欧,南米に知られている口頭伝承である。宝物は本来ジャックの父の所有物であるとか,巨人が捕らえられて檻に入れられるとか,類話も多い。冒険型のほかに,ものぐさ,知恵者,まぬけなどさまざまな性格の〈ジャックばなし〉が伝わる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャックと豆の木」の意味・わかりやすい解説

ジャックと豆の木
じゃっくとまめのき
Jack and the Beanstalk

イギリス、イングランド地方の代表的民話怠け者のジャックが、牛と交換に豆を手に入れる。一晩のうちに天まで伸びた豆の木を登って、空の上の国にたどり着き、巨人がジャックの父から奪った竪琴(たてごと)と金の卵を産むニワトリと金の袋を奪い返し、巨人を退治する話。竪琴は風を、金の袋は雨を、ニワトリは太陽を象徴し、ジャックの冒険は、人間生活に必要なものを地上に取り戻すことを意味するという解釈もある。起源は遠く北欧神話イグドラシル(天と地と下界を結ぶトネリコ大樹)にさかのぼるといわれ、各地に類似した民話がある。

神宮輝夫

『ジョセフ・ジェイコブス著、木下順二訳『ジャックと豆のつる』(1967・岩波書店)』『ジョセフ・ジェイコブス著、乾侑美子訳『ジャックと豆の木』(1979・小学館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャックと豆の木」の意味・わかりやすい解説

ジャックと豆の木
ジャックとまめのき
Jack and the Bean-stalk

イギリスの有名な民話。北欧神話に基づくが,同種のものは北アメリカインディアン南アフリカの伝承にもみられ,広く世界にまたがる民話である。貧しい寡婦の子ジャックが母の牝牛を一握りの豆と交換,母に叱責されるが,その豆が一夜のうちに天まで伸びる大木となり,ジャックはそれを伝い天上の国に登って,父のかたきの巨人から数々の宝物を奪って地上に帰る。あとを追ってきた巨人は,ジャックが豆の木を切ったため墜落して死ぬ。

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百科事典マイペディア 「ジャックと豆の木」の意味・わかりやすい解説

ジャックと豆の木【ジャックとまめのき】

英国の民話。牛と交換して得た豆が天に達する大木になり,ジャックはそれを登って不思議の国に行き,巨人の宝を盗みとる。巨人は,あとを追うが,先に地上に降りたジャックに豆の木を切り倒され,落ちて死ぬ。北欧に起源をもつといわれ,同系の話はヨーロッパで広く語られている。また英国の説話ではジャックの名が巨人退治ばなしの主人公としてよく登場する。

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デジタル大辞泉プラス 「ジャックと豆の木」の解説

ジャックと豆の木

米国の作家エド・マクベインのミステリー(1984)。原題《Jack And the Beanstalk》。「ホープ弁護士」シリーズ。

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