ジャムチ(読み)じゃむち(英語表記)Jamchi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャムチ」の意味・わかりやすい解説

ジャムチ
じゃむち / 站赤
Jamchi

モンゴル帝国および元帝国の駅伝。オゴタイ・ハンの治世の初年(1229)に制度が整えられ、各駅に車馬、人夫、宿舎、飲食物が備えられ、官吏使者護送物資の輸送に利用された。このため首都カラコルムを中心としたユーラシア大陸東西の交流が活発化した。元代には首都の大都北京(ペキン))を中心に、牛、船、犬など、それぞれの土地に便利な輸送交通手段も採用された。利用許可証である「牌(はい)(牌子(し))」(パイザ)、「舗馬聖旨(ほばせいし)」(ヤルリグ)をもつ者は、その証明内容に応じて駅を利用できた。駅務にあたる「站戸(たんこ)」は世襲であって、その負担を軽減するため、一定の免税処置を受けていたが、なお困窮しがちであった。

[松田孝一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャムチ」の意味・わかりやすい解説

ジャムチ
ǰamchi

中国,元の駅伝。漢字では站赤と表わされる。チンギス・ハン時代から,モンゴル帝国を結ぶ交通路線に設けられ,オゴデイのときに制度が規定された。そして大都 (北京) を中心とした幹線道路には,10里ごとに駅舎が設けられ,官員,使臣の護送に使用された。

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