イゼール川(英語表記)Isère

改訂新版 世界大百科事典 「イゼール川」の意味・わかりやすい解説

イゼール[川]
Isère

フランス南東部の川。ローヌ川支流で,全長290km。フランス・アルプス,バノアーズ山群に源を発し,フランス石灰岩アルプスとベルドンヌ山脈の間に〈アルプスの地溝〉と呼ばれる顕著な縦谷をつくる。グルノーブル周辺でベルコールグランド・シャルトルーズの両石灰岩アルプスを横谷で分断し,バランスでローヌ川に合流する。合流点から150kmまでは航行可能で,古くからアルプス越えの交通路として利用された。支流のアルク川,ドラック川とともに水力発電が盛んで,流域にはグルノーブルのほか,ユジンヌ,サン・ジャン・ド・モーリエンヌなどの工業都市がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イゼール川」の意味・わかりやすい解説

イゼール川
イゼールがわ
Yser

北フランスの砂岸丘陵地からベルギー西部を経てニーウポールト北海に流入する小海岸河川。オランダ語ではアイゼル IJzer。全長 77km,うち約 50kmはベルギー領を流れる。ベルギー領内では運河化され,ロー運河でフルネと,イゼール運河でイープルと結ばれている。第1次世界大戦中の 1914年この川の流域において,イギリスの海岸を目標にフランスのカレーに進軍しようとしたドイツ軍と,これを阻止しようとする連合軍の間で 15日間に及ぶ激しい戦闘が行なわれ,最終的には洪水に助けられた連合軍が左岸を確保した。

イゼール川
イゼールがわ
Isère

フランス南東部,西部アルプス西斜面を集水域とする,ローヌ川の支流。全長 290km。イタリアとの国境,イズラン峠 (2762m) 北側の氷河圏谷に発し,近代スキーの一中心地バルディゼールを経てティーニュ人造湖に入り,南西,のち再び北西に流れを転じてバノアーズ山塊 (最高点 3850m) の北縁を形成し,アルク川と合流する。グルノーブルまで南西に続く谷をグレジボーダンの低地といい,前アルプス山中の主要交通路。グルノーブルでドラック川を受入れて北西に流れベルコール山塊北端を迂回,バランス北方でローヌ川に合流する。水量の変化が大きく沿岸集落の多くは河床面を避けて建設されている。本・支流ともに水力発電に利用され,ティーニュ・ダム (1947~52) は,フランス有数の大人造湖を形成。流域は金属・化学工業が盛ん。付近にはスキー場も多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イゼール川」の意味・わかりやすい解説

イゼール川
いぜーるがわ
l'Isère

フランス南東部の川。全長290キロメートル、流域面積約1万2000平方キロメートル。アルプス山中に発し、サボア地方の山間を大きく曲流しながら西流してドフィーネ地方に至り、グルノーブル近郊で南から合流するドラック川の水を受け、西北、ついで西南流して、バランスの北でローヌ川に合流する。多くの支流を含め、流域には水力発電所が多い。

[高橋 正]

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