ジレ(読み)じれ(その他表記)gilet フランス語

デジタル大辞泉 「ジレ」の意味・読み・例文・類語

ジレ(〈フランス〉gilet)

丈が短めの袖なしの胴着チョッキ。ベスト。
装飾的な前飾りをつけた婦人用胴着。上着の下に着て、ブラウスに見せかけるもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジレ」の意味・わかりやすい解説

ジレ
じれ
gilet フランス語

袖(そで)のない、ウエスト丈の装飾用胴衣。または背広と対のチョッキのこと。英語ではウエストコートまたはベストという。ルイ16世(在位1774~92)のころ、ヨーロッパ中の男子の公服であったアビ・ア・ラ・フランセーズhabit à la françaiseの下に着用されていた丈の長いベストのかわりに、イギリスから伝わったもの。丈はウエストまで、前身頃(みごろ)には美しい色柄の布地を用いたが、後ろ身頃には安価な別布を用いるのが普通であった。簡易な衣服ながら、服装に変化と彩りを添え、個性的な趣向を凝らすことができるものとして重要視され、貴族から庶民に至るまで普及した。

 19世紀なかばに男子の背広が確立してからも、その下に着るチョッキとして残ったが、服装のアクセント的要素は薄れて全体的統一の美が重んじられ、共布が用いられた。19世紀より女性の服装にも取り入れられ、スーツの下にブラウスやシャツがわりに着用される。

[田村芳子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ジレ」の意味・わかりやすい解説

ジレ
gilet

スーツなどを着るとき上衣の下に着るブラウスがわりの胴衣。おもに女性用で,袖なし,脇で紐結びが多く,フリルやレースなどの飾りをつける。もともとは男性の着たもので,1770年代にイギリスから短い新型の胴衣(ウェストコート)がもたらされ,フランスではこれをジレと呼び,ジュストコルという上衣の下に着た。18世紀には上衣とともに丈はより短くなり,袖なしになった。19世紀中ごろに今日の背広服が確立されてから,チョッキとして用いられてきた。女性が着るようになってきたのも19世紀からである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジレ」の意味・わかりやすい解説

ジレ
Zile

トルコ中央北部,トカト県の都市。イェシル川下流の平野にあり,商業農業中心地。穀物,テンサイが主産物で,精糖工業が発達している。古名はゼラ Zela。前 47年にカエサルがポントス王ファルナチス2世を破り「来た,見た,勝った」と報告したことで知られる。人口4万 6323 (1990推計) 。

ジレ
gilet

チョッキまたはブラウスにみせかけた,装飾用袖なし胴衣。スーツの下に着て,開いた胸元からのぞかせ,衣服の体裁を整える。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ジレ」の意味・わかりやすい解説

ジレ

スーツや胸元の開いた上着の下につける袖(そで)なし胴着。18世紀後半から用いられた。ブラウスのように見えるが背部は簡略化され,胸だけ刺繍(ししゅう)やレース,タックなどを施した装飾的なもの。生地は絹,麻,木綿,ナイロンなどが使われる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android